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文献詳細

雑誌文献

medicina11巻7号

1974年07月発行

文献概要

今月の主題 肝硬変—今日の視点 肝硬変の問題点

肝硬変とは—内科の立場から

著者: 上野幸久1

所属機関: 1三宿病院

ページ範囲:P.840 - P.841

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 肝硬変は衆知の如く,肝炎ウイルス,薬剤,毒物,アルコール,栄養障害などいろいろな原因による肝障害の終末像であり,なかでもウイルス肝炎に由来するものがわが国では最も大きな比率(約80%と推定される)を占めている.病理学者あるいはそれに近い臨床家は本症と慢性肝炎との形態的鑑別および肝硬変の形態的分類,あるいはさらにその成因まで組織像から読み取ろうと努力している,しかしながら,われわれ内科医にとってはそれらの分類が臨床症状,検査成績の相違と対応し,治療あるいは経過予後の判断などについて有力なinformationを与えてくれない限り,分類そのものは余り大きな臨床的意義を持たない.
 甲,甲′,乙,乙′という分類,門脈性,septal,nutritional, Laennec, posthepatitic,アルコール性,壊死後性といったさまざまな分類ないし形容のしかたが世界各国で横行しており,しかもそれぞれの意味するものが学者によって必ずしも一致していない.このような事実は現行のどの分類も完全なものでなく,形態学はみる人の主観に強く左右され得るという宿命のあらわれであり,肝硬変を細かく分類することの意義についても懐疑的にならざるを得ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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