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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻1号

1975年01月発行

文献概要

今月の主題 意識障害への新しいアプローチ

意識障害はどうして起こるか

著者: 石黒健夫1 島薗安雄2

所属機関: 1自治医大精神医学 2東医歯大神経精神医学

ページ範囲:P.6 - P.11

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意識障害とその種類
 「意識障害」は,精神活動の全体的な障害15,30)とされるが,それの把握には外界を知覚し認知する領域における,比較的低次の働きの全体的な障害16)に重点がおかれる.したがって,知能のような比較的高次の精神活動能力だけが低下している精神薄弱や痴呆は意識障害とされず,高次の認識能力の障害とされる精神分裂病の「自我意識の障害」も通常の意味の意識障害の概念にあてはまらない.また,精神分裂病やうつ病でみられる「昏迷状態」は自己の外界への表出能力の障害が主で,外界と自己を受容する能力は保たれているので,従来は意識障害とはみなされていない.
 意識障害は混濁と変容と狭縮の3つの形に大きく分けることができる12,16,25).意識には清明性とひろがりがあり,ひろがりは意識野といわれる.意識が清明であると,意識野は明るく保たれており,たえまなく外界と自己を知覚し,認知し,適応する働きが行われる.特定の対象に注意が向けられると,その対象はより明るく照らしだされる.この明るさがそこなわれ,精神活動が鈍く不正確になるのが「意識混濁」で,意識野が著しく狭窄するのが「意識狭縮」である.意識混濁は,脳の機能的,器質的あるいは中毒性の疾患や代謝障害にみられ,生理的な疲労状態に似た明識困難という軽い段階から,すべての反応が消失する昏睡まで,いろいろの程度のものがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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