文献詳細
今月の主題 意識障害への新しいアプローチ
知っておきたい脳症
文献概要
一般にWernicke脳症(またはWernicke病,Wernicke脳炎,以下W.脳症と略)という病名は,有名であるにもかかわらず,実際には一般の臨床医の間ではあまり知られていないようであり,見逃されていることが多いように思われる.早期の適切な治療を怠ると重大な結果を起こし,致命的な結果をきたすことも多い疾患であるだけに注意が必要である.なお,後述するように,この疾患は神経病理学的には「脳炎」ではなく,Spatz(1930)が"Pseudoencephalitis"(仮性脳炎)という名称をつけて以来Wernicke仮性脳炎という名称がよく用いられてきた.筆者は,仮性脳炎という名称は適切ではなく,もしWernicke仮性脳炎という名称を用いるなら神経病理学的な意味にとどめ,特有な臨床症状と病理所見が備わったものをW. 脳症(またはW. 病)の名で呼ぶのが良いと考える.
さて,本症については,1881年Wernickeが意識混濁,眼球運動麻痺,歩行失調を主症状として急性の経過をとって死亡し,神経病理学的に特有な変化をきたした3症例を"Poliencephalitis haemorrhagica superioracuta"として報告したのが最初であり,それ以来多数の報告例がある.
さて,本症については,1881年Wernickeが意識混濁,眼球運動麻痺,歩行失調を主症状として急性の経過をとって死亡し,神経病理学的に特有な変化をきたした3症例を"Poliencephalitis haemorrhagica superioracuta"として報告したのが最初であり,それ以来多数の報告例がある.
掲載誌情報