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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻1号

1975年01月発行

今月の主題 意識障害への新しいアプローチ

知っておきたい脳症

高浸透圧性非ケトン性糖尿病昏睡

著者: 後藤由夫1

所属機関: 1弘前大第3内科

ページ範囲:P.20 - P.21

文献概要

原因,病態
 糖尿病昏睡はケトーシスによって起こってくるが,ケトン尿の証明されない昏睡例のあることが古くから報告されている.当時は腎障害のためにケトン血症があっても尿中にケトン体は現れないものと解されていた.近年になって,これが高血糖または高Na血症のために血漿滲透圧が上昇し,これによって昏睡となることが明らかになったものである.Hyperosmolar nonketotic diabeticcomaと呼ばれている.
 ケトアシドーシスを伴う糖尿病昏睡はインスリン欠乏の極限の病態であるが,本症ではわずかながらもインスリンが存在するために脂酸の動員が著明でなく,ケトーシスも起こらないとの説明もあるが,発生機序はなお不明である.年齢は,はじめは若年症例にはなく,むしろ高齢者に起こるのが特徴のように考えられたが,次第に若年例の報告も増し,好発年齢の特徴がなくなってきた.しかし,ケトーシスを伴う昏睡と対蹠的なのは軽症糖尿病患者にも起こることである.糖尿病の既往のない高齢者に急速に本症が起こることがあり,このような場合に昏睡回復後にはインスリンを必要としない状態にもどる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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