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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻1号

1975年01月発行

文献概要

今月の主題 意識障害への新しいアプローチ 治療のポイント

肝性昏睡

著者: 安部井徹1

所属機関: 1東邦大第2内科

ページ範囲:P.54 - P.55

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治療に入る前に
 当然のことではあるが,肝性昏睡の治療に入る前に,昏睡が本当に肝性昏睡であるかどうかを充分に鑑別しておく必要がある.肝疾患でみられる昏睡は必ずしも肝性昏睡だけではない.とくに低Na血症や急性アルコール中毒,糖尿病性昏睡,低血糖発作,尿毒症などとの区別は注意を要する.また,振せんについては,ウイルソン病との鑑別も大切である.ときには潜在していたうつ病やパラノイアのような精神病が肝疾患の経過中に顕性となることもある.
 次に大切なことは,肝性昏睡を惹起せしめた諸種の要因を見出しておくことである.利尿剤,腹水穿刺,下痢,嘔吐,消化管出血,手術,飲酒のほかに,バルビタール,モルフィン,トランキライザーなどの薬剤などはとくに注意を要する.多量の蛋白摂取や便秘も腸管内の有害アミンの吸収を促進して昏睡の要因となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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