今月の主題 アレルギーのトピックス
アレルギーに関する基礎知識
最近問題となっているアレルゲン
著者:
信太隆夫1
所属機関:
1国立相模原病院・内科
ページ範囲:P.1470 - P.1473
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今日,アレルギー性疾患の原因抗原やその症状の成立過程に関する研究は急速に進み,抗原のみに限ってもその全貌を限られた誌面に載せることは至難に近い.その理由は,抗原として,かつては有機物にもっぱら注意が払われていたが,無機物も広く原因としてみられること,simple chemicalとしていわゆる薬品以外の低分子物質も問題となってきているためである.極論すればわれわれの環境の全ての物質がアレルギーの抗原となり得るかもしれない.これは単にirritantとして働くだけでなく,sensitizerとして働く可能性があるからである.一方,アレルギー性疾患の生体側の反応過程は複雑であり,現在一応Coombs and Gellの4型に臨床的表現を求めてはいるが,この4型間にさえ交錯した機構を示している.
アレルゲンとはレアギンに対応した言葉である.つまりⅠ型反応にのみ使われるべきであるが,アレルギーという全体像からみると,従来用いられていたアレルゲンなるものもⅠ型以外の反応に関与していることがわかってきた.しかしここでは,アレルゲンとしてⅠ型反応を呈するものを主にあげ,必要に応じて遅延型反応抗原にもふれ,またその若干の機序にもふれてみたい.