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今月の主題 アレルギーのトピックス アレルギー性疾患の問題点
アレルギー性皮膚疾患2つの話題
著者: 中山秀夫1
所属機関: 1済生会中央病院・皮膚科
ページ範囲:P.1506 - P.1508
文献購入ページに移動アレルギー症の分類は古くから即時型と遅延型の2種に分ける方法が行われていたが,ここ数年来,液性抗体と補体などの研究の進歩により,前者をさらに3つに分類して,type I〜IVに分けるCoombs-Gell/Storckの分類法がよく用いられるようになった.しかし,皮膚というさまざまな反応型式をもった組織が起こす複雑なアレルギー反応を上記のtype I〜IVで説明することは,今なおほとんど不可能である.各種のアレルギー性発疹のメカニズムを説明するには,将来Coombs-Gellよりはるかに高度で,リンパ球,液性抗体,好中球,麦皮細胞,組織球,血清中の補体,などの連けい動作を網羅した分類法を考案しなくてはならないと予測される.
皮膚のアレルギー症の分類には,本邦では以前から外国にはない.特有の価値の高い伊藤氏の分類法があった.それはアレルギーの反応の場の主体が表皮にあるようにみえるか,真皮にあるようにみえるかによって,表皮アレルギーと真皮アレルギーに分ける方法である.伊藤氏のoriginalな分類法は,近年知られたいくつかのアレルギー性皮膚疾患を含まないので,筆者の判断でこれらを追加すると,表のごとくになる.これをみると,各種のアレルギー性発疹が,Coombs-Gellの分類ではいかに説明しがたいものであるかがよくわかる.これらの中から.日常の診療でしばしばみられ,かつ非専門医によって白癬やAddison氏病とまちがわれやすい2種のアレルギー性皮膚疾患に関して簡単に述べてみたい.
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