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文献概要
図解病態のしくみ 炎症のしくみ・1
炎症の定義と臨床症状
著者: 水島裕1
所属機関: 1東大・物療内科
ページ範囲:P.1566 - P.1567
文献購入ページに移動一口にいって,炎症とは生体に有害な刺激に対する組織レベルでの防御反応と解釈されている.すなわち,炎症なしには,生体に有害な細菌などに対して生体は十分抵抗することができない.この理論は図2に示した原因のうち,特に病原体感染,そして物理的・化学的刺激,外傷などにもあてはまるものであるが,いわゆるアレルギー性炎といわれているものに対しては,通用しない.動物にみられるアルサス反応や,膠原病をはじめとする,いわゆる自己免疫疾患の場合には,炎症の原因となるものよりも,炎症そのものが,生体にとって,より大きな負担となっていることは,まず間違いない.このように,炎症を,有害な刺激に対する防御反応とも定義できず,結局,古くからいわれているように,炎症とは刺激に対して起こった組織の反応であり,刺激がとり除かれ,治癒に向かうか,あるいは悪化,再然をくり返すかは別として,その全経過をさすという以外にないと思われる.なお,当然のことながら,刺激に対して起こった反応でも,上記の臨床的・組織学的特徴に合わないものは,炎症とはいわない.
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