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雑誌目次

雑誌文献

medicina12巻11号

1975年10月発行

雑誌目次

今月の主題 感染症としてのB型肝炎 対談

感染症としてのB型肝炎

著者: 河合忠 ,   鈴木宏

ページ範囲:P.1598 - P.1605

 肝炎に関する研究の進歩は著しい.とくにB型肝炎ウイルスに関しては,その全貌がほとんど明らかになってきた.そこで,ここではB型肝炎を感染症として把え,B型肝炎ウイルスの実体と感染様式,および発症のメカニズムとその予防までをお話しいただく.

肝炎ウイルスとは—そのウイルス学的考察

著者: 大堀均 ,   石田名香雄

ページ範囲:P.1606 - P.1609

 ウイルス性感染症であると考えられながら,長い間そのウイルスが発見されなかったヒトのウイルス性肝炎のうち,B型肝炎ウィルスの本態がようやく明らかになりつつある.B型肝炎ウイルスの発見の糸口を切りひらいたのはBlumbergによるオーストラリア抗原の発見であった.現在HB抗原(B型肝炎抗原)と呼ばれているが,抗原陽性血清中に含まれるDane粒子と呼ばれる大型粒子がB型肝炎ウイルスであろうと考えられている.
 血清肝炎として知られたB型肝炎にくらべ,伝染性肝炎として知られたA型肝炎の方もようやくそのウイルス粒子がつかまり,マーモセットという実験動物も得てその本態が明らかにされつつあるが,B型肝炎ウイルスほどウイルスが大量に確保されていない.

B型肝炎の疫学—特定6県における急性肝炎発生の実態と2,3の疫学的検討

著者: 松下寛

ページ範囲:P.1610 - P.1613

 急性ウイルス肝炎とは肝の急性び漫性炎症を主病変とする肝炎ウイルスによる全身性感染症であり,現在HB(B型ウイルス肝炎)抗原との関連の有無により,従来の血清肝炎と伝染性(または流行性)肝炎にほぼ相当するB型肝炎とA型肝炎の少なくとも2種類に分けられている.急性肝炎は肝炎ウイルスのほか,各種のウイルス,薬剤,アルコールなど,各種の病因によっておこることが知られているが,その主体をなすものは急性ウイルス肝炎であり,この点,急性肝炎という病名は通常その同義語として慣用されてきた.
 ウイルス肝炎の自然史を明らかにし,適切な対策を立てるためには,まず,その発生,漫延の実態を正しく把握せねばならないが,とくに急性肝炎の全国的な罹患情報はその国に普遍的な本症発生の疫学的パターンを示すものとして,その疫学的解明上最も重要な資料とされてきた.

B型肝炎の予防

著者: 森次保雄 ,   多ケ谷勇

ページ範囲:P.1614 - P.1615

 B型肝炎ウイルス粒子は,デオキシリボ核酸(DNA)とDNAポリメラーゼ活性を持つ直径27nmのコア(core)を,リポ蛋白で覆った二重構造の直径43nmのDane粒子であろうとされている.Dane粒子の外皮(surface)抗原(HBs抗原)は直径23nmの小型粒子および管状粒子の抗原と共通であるが,Dane粒子のコアの抗原(HBc抗原)とは異なる.B型肝炎ウイルスは血清蛋白中に保護されていると比較的安定であるが,そうでない場合は不活化されやすいようである.このウイルスによる感染は多くの場合非経口的経路による.そして標的細胞である肝細胞に到達すると肝炎発病の機会を与える.一般に感染経過は長く,血中その他排泄物中にHBs抗原などが長期間検出されることがある.とくにHBs抗原を保持する母親から出生時または新生児期に感染した例は無症状のウイルス保持者となるため,重要な感染源として注目されている.
 HBs抗原を含む血液その他の排泄物はすべて感染源となり得ると疑われている.最も重要な感染源は血液であり,最も重要な感染経路は上述の非経口経路である.HBs抗原を含む唾液による飛沫感染とか,HBs抗原を含む血液その他の排泄物により汚染された飲食物などによる経口感染なども疑われているが,確証はない.B型肝炎は極めて密接な接触がないとヒトからヒトへ伝染しないとされているので,いま述べたように非経口感染以外の経路による感染がたとえ存在するとしても,その危険性は極めて小さいであろう.しかしながら,近年B型肝炎に関連する各種検査法の感度が高まり,HBs抗原を持つ血液がほぼ完全に排除されるようになったために,非経口感染によるB型肝炎の発生が減少した.したがって,現在は非経口経路以外の経路による感染の危険性が以前と比較すると相対的に増大していると考えられる.

HB抗原・抗体の基礎

HB抗原について

著者: 高橋隆

ページ範囲:P.1616 - P.1617

 1965年,B. S. Blumbergらにより報告されたオーストラリア抗原は,1967年まで極く少数の研究者の研究課題の1つにすぎなかった.1967年に輸血後肝炎との関連が見出されて以後,Blumbergらのオーストラリア抗原が肝炎B抗原(HB抗原)として登場した.

検出法のよい点・悪い点

著者: 関根暉彬

ページ範囲:P.1618 - P.1619

 HBウィルスはヒト,サル以外では感染がみとめられず,また培養細胞による増殖も確実ではないので,現時点においては,HBウイルスの測定はその表面抗原(HBs抗原)を免疫学的方法により測定するのが最も感度よく,また確実である.以下,いろいろな免疫学的HBs抗原測定法について述べてみたい.良い点とか悪い点とかは使用する状態によって異なってくるので,特徴ということでまとめたのが表である.
 各点についてもう少し詳しく述べてみたい.

HBs抗原のsubtype

著者: 宮川侑三 ,   真弓忠

ページ範囲:P.1620 - P.1622

 日本国内はもとより,世界各国の同じ興味をもった人達と知り合いになれることは研究のもたらす大きなよろこびの1つである.Paul Holland(NIH,Blood Bank)はこの関係をfraternity(“同胞意識”とでもいったらよいのであろうか)という.実際にB型肝炎研究に携わってきた多くの世界の研究家が日本の諸研究groupと直接,間接に関係をもってきたし,何人かは日本を訪れた.HB抗原が大河内らによって発見され,肝炎との関係が明らかにされてから未だ日も浅いが,これが肝炎研究の歴史で大きな展開であったことを認めない人はいないであろう.日本における研究は,発見のいきさつと,国内の免疫学,臨床医学の高い水準が,HB抗原が西欧と比較して東洋で非常に得やすい事実によって増幅された結果,過去数年間に目ざましい進歩を遂げた.これが国内の各研究機関の密接な協力関係によって可能であったことはいうまでもないが,国境を越えたfraternityに負うところもまた少なくなかったと感ずるのである.

HB抗原の細胞内局在—螢光抗体法および染色法による所見

著者: 志方俊夫

ページ範囲:P.1623 - P.1626

 B型肝炎ウイルスは特異的にヒトの肝細胞で増生する.肝臓以外の臓器でも若干のHB抗原が螢光抗体法で証明されるが,それは血管壁とか網内系細胞であって,血中を流れているHB抗原がひっかかったか,取りこまれたに過ぎないと考えられる.
 肝組織内でのB型肝炎ウイルスの分布は疾患によって若干異なり,またいくつかの分布のパターンがある.

HB抗原の細胞内局在—電顕による所見

著者: 田中慧 ,   三浦賢佑 ,   松本明 ,   鈴木司郎

ページ範囲:P.1630 - P.1634

 HBAgを合成していろ細胞の電顕的検索により,HBAgの合成および粒子形成,さらにHepatitis B Virus(HBV)の増殖に関する知見を得る可能性がある.invitroでの合成系は東北大・石田が人胎児肝器官培養系での増殖を報告しているが,一般の検索に使用することは未だ困難な状況である.in vivoでの検索はチンパンジーに感染実験が可能であるが,わが国では簡単に実験を行い得ない.しかし,人体内ではHBAg粒子が肝実質細胞で合成されていることがほぼ確実であるので,現時点では人肝生検材料が有力な検索対象である.しかし,過去において肝炎ウイルス発見の目的で多くの努力が電顕的検索に割かれていたにもかかわらず,ほとんど陽性の所見が得られていない.このことは検索方法あるいは機械の性能にも問題があったであろうが,生検の時期と細胞障害の程度との関連において陽性所見が得にくかったとも考えられる.現在ではHBAg持続陽性で肝細胞障害の少ないcarrierなどの症例も検索対象に含まれるようになり,このような症例から電顕的に特異な所見が発見され,それがHBAgと関連あるものとして報告されている.
 今までにHBAgと関連ある像として報告されているものに核内ウイルス様粒子と細胞質内フィラメント様構造がある.これら2つの特異な所見を中心として,HBAgをHB core Ag(HBcAg)とHB surface Ag(HBsAg)に分けて細胞内局在の考察を行う.

e抗原・抗体

著者: 今井光信 ,   真弓忠

ページ範囲:P.1636 - P.1637

e抗原,e抗体について
 e抗原は,1972年,MagniusらによってHBs抗原陽性血清中に見出された蛋白である1).これはHBs抗原,HBc抗原とは異なった,新しい抗原物質であり,比重1.291,沈降係数11.6Sの蛋白抗原として証明されている2)
 現在,HBウイルスにもとづいて産生される抗原物質としてはHBs抗原,HBc抗原の2つが知られているが,このe抗原もやはりHBウイルスの遺伝情報にもとづいて作られる抗原物質の1つと考えられている.

HB抗原・抗体の臨床

劇症肝炎

著者: 太田康幸

ページ範囲:P.1638 - P.1641

はじめに
 劇症肝炎患者の実態を把握することは容易なことではないが,その資料としては,厚生省難治性肝炎研究班疫学分科会(重松逸造班長)1)が,昭和48年度に全国の病院を対象として,昭和47年度1年間の受診患者の概数調査を行い,ついで「症例あり」の施設に個人調査表を送付し,その回答によってまとめた成績と,小坂2)が全国内科学会指定の278の教育病院へ昭和44年および45年度の患者について,アンケート方式でしらべた成績との2つが,比較的信頼できる資料であろう.
 重松1)のまとめによれば,わが国における年間あたりの劇症肝炎患者の推定発生例数は253×10例であり,筆者らの集計では,急性肝炎のうち劇症型が占める率は,3.85%であった.

急性肝炎

著者: 三田村圭二

ページ範囲:P.1642 - P.1643

 急性ウイルス肝炎は,肝の急性炎症を主病変とする全身性のウイルス感染症と考えられる.ウイルスが細胞内に侵入し,増殖することによりウイルス感染が成立する.感染の成立には,ウイルスの株,毒性,量,感染経路と,生体の防御機構とが関与するが,多くの場合,生体の防御機構が大きな役割をする.生体の防御機構には,インターフェロンなどの非特異的機構と,体液性免疫と細胞性免疫による特異的機構とが存在する.
 急性B型肝炎においては,HBs抗原の無症候性保有者にみられるように,HBs抗原とHBc抗原が肝細胞に大量に存在していても,ほとんど退行変性も壊死も認あられないことなどから,少なくともB型肝炎ウイルスないしHB抗原は,直接肝細胞障害性に働くものではないと考えられる.B型肝炎ウイルスが侵入した場合,生体の防御機構,とくに免疫反応が始動し,肝細胞が破壊され,ウイルスが排除される.生体の免疫応答の差異により,症状と経過が異なる.臨床的には,不顕性感染(無症候性感染),ほとんど肝細胞障害を伴わない軽い胃腸症状を示すものから,無黄疸性の肝炎,さらに黄疸を伴う肝炎から劇症肝炎にいたるまで幅広いものである.大多数は自然に完治するが,死にいたる例,慢性化する例も認められる.

慢性肝炎

著者: 鈴木宏

ページ範囲:P.1644 - P.1645

 B型肝炎ウイルス(HBV)は他のウイルス感染症と異なり,ウイルスの持続感染のみみられることに特徴がある.しかも,HBVの持続感染者(carrier)すべてが肝障害を有しているわけでなく,無症候性のHBV carrierも数多く存在している.HBV carrierのうち,約10%が肝炎を発症していると考えられており,これがB型肝炎による慢性肝疾患のほとんどを占めている.HBVの持続感染の成立はわが国では胎児あるいは出産時の感染が大きな役割を占めており,この持続感染者のうち一部の者が,20歳以降に肝炎を発症し,慢性肝炎,肝硬変さらにヘパトームに進展すると考えられているが,肝炎発症の機序はまだ不明である.
 一方,乳・幼児期以降に感染し発症したもののほとんどはHBVの一過性の感染で,HBsAgの出現も一過性である.これは他のウイルス感染症と同じで,HBVの急性感染症ということがいえる.急性B型肝炎でHBsAgが一過性に出現した例はほとんど治癒し,HBs Agが持続的に出現する例に慢性化例の多いことはNielsenら1)の報告後,わが国でも同様の報告が多くみられる.したがって,B型肝炎の慢性化にはHBVの持続感染が大きな役割を果たしているのであって,HBVの感染が引き金となって,慢性肝炎が起こるとすることは考えがたい.

Asymptomatic Carrier

著者: 市田文弘 ,   藤田馨士 ,   吉川明 ,   関根輝夫

ページ範囲:P.1646 - P.1648

 B型肝炎ウイルス(HBV)に関する研究の進展とともに,B型肝炎発症機序の解明に重要な鍵を握るHB抗原のasymptomatic carrier(以下carrier)についても形態学的,疫学的立場など多方面からの検討が加えられるようになった.また最近になって,HBVに関連するHBs抗原・抗体,HBc抗原・抗体,およびe抗原・抗体の3つの反応系が確立されるようになり,carrierの成立機序,あるいはその感染性などが次第に解明されつつある現況である.
 ここではcarrierの頻度,並びに分布,HBVに関連する上述の3つの抗原・抗体系の動向からみたcarrierの成立機序,並びに感染性について当教室での成績を加えて概説
する.

小児のB型肝炎

著者: 小田原真理子

ページ範囲:P.1649 - P.1651

 小児のB型肝炎の臨床症状は成人よりも比較的軽く,慢性化の傾向も少ないといわれていたが,乳児期についてはまだほとんど不明の点が多い.近年,B型肝炎とかかわりのある抗原蛋白のHBsAg,HBcAg,eAgの出現によって,これらを免疫学的立場から究明する手がかりが得られている.
 ここでは,この抗原蛋白をとおして,小児B型肝炎における臨床像の年齢による特徴について述べると共に,従来,疾患の原因にB型肝炎ウイルスの経胎盤感染が推測されていた乳児肝炎(neonatal hepatitis)の問題,皮膚症状を呈する小児特有のB型肝炎(Gianotti病)が見出されていることなどについてもふれてみたい.

家族性肝硬変症

著者: 大林明

ページ範囲:P.1652 - P.1654

 一つの家系に肝硬変の多発をみた場合,その肝硬変症を家族性familialとよぶので,広義には遺伝性の先天性代謝異常,たとえばWilson病,idiopathic hernochromatosis,galactosemia,α1-antitripsin deficiencyなどによる肝硬変症もこの範疇に入るであろう.
 しかし,今日,わが国で最も関心がもたれ,またその発生頻度も高い家族性肝硬変症はHBウイルスに由来するものである.これはHBウイルスが家族内感染,主として母児感染によって先祖から子孫へと伝播されている家系においてみられるものであり,1945年に筆者が記載した2家系が最初の報告である1,2).以来,このような家系が陸続と発見され,今日,わが国では決して稀な存在でないことが判明している.

ヘパトーム

著者: 小幡裕 ,   林直諒 ,   本池洋二 ,   小林誠一郎

ページ範囲:P.1656 - P.1657

 肝疾患におけるHBs抗原の検索が集積され,B型肝炎ウイルス(HBV)と諸種肝疾患との関連が明らかにされてきたが,さらにHBs抗原の高感度の検出法が行われるようになってから,ヘパトームにおける抗原陽性率が高率であることがわかり,ヘパトームの病因としてのHBVの役割が注目をあびるようになってきた.

肝炎の進展

著者: 辻孝夫 ,   野崎肇

ページ範囲:P.1658 - P.1659

 ウイルス性肝炎は他のウイルス感染症と若干異なり,定型的な経過をとって治癒する急性肝炎以外に,6.3〜25.3%は遷延化し1),かつ慢性肝炎へ移行してゆく一群の疾患群があり,さらにこの慢性肝炎の6.4〜28.6%が肝硬変まで進展すること2)が追跡調査で明らかにされている.一方,肝炎ウイルスに関する知見も,最近の10年間の間にHB抗原を中心としたHBウイルスの詳細が明らかにされ,さきの肝炎の慢性化ないし進展に関してもウイルス学的ないし免疫学的な解析が試みられるようになった.本稿では,以上のような肝炎の進展とHB抗原との関連性について,筆者らの成績を中心に解説を加えたいと思う.

細胞性免疫

著者: 伊藤憲一 ,   佐野万瑳寿

ページ範囲:P.1660 - P.1661

HB抗原に対する細胞性免疫とは
 HB抗原が感染性を有することは明らかであるが,HB抗原それ自身では直接的に肝細胞を破壊する作用はきわめて少なく,HB抗原が侵入し肝細胞破壊が惹起されるためにはHB抗原プラスαが必要である.現今ではプラスαとしてHB抗原とくにHBs抗原に対する血中抗体,あるいは細胞性抗体の介在が肝炎の発症や遷延に重要な役割を果たしているとの考えが有力である.
 もともと血中抗体にせよ,細胞性抗体にせよ,抗体の産生は病原体の排除のために存在する生体の防御機構である.病原体,とくにウイルスを排除するためには,まず病原体を含む細胞を破壊させ,病原体を血中に遊出せしめて,しかる後に病原体の排除に努めるという防御の機序が働く.HB抗原陽性の際はまず細胞性免疫が作動して,HB抗原を含む肝細胞を破壊せしめ,血中に遊出したHB抗原を血中抗体が処理すると考えると理解しやすい.したがって,HB抗原を体内から排除するためには,まず細胞性抗体が働かねばならない.しかし,HB抗原が侵入してもこれを排除しようとする免疫能が働かなければ,HB抗原は長期間体内に存在するが,短時日内には肝障害は惹起されない.そのかわりHB抗原の有する弱い細胞障害作用によって長年月の間には肝障害が惹起されていく.逆にHB抗原を排除しようとする免疫能が強ければ急性の肝細胞壊死を伴う.またウイルスに限らず何かの原因で肝障害が惹起されると,ある条件下,おそらくは遺伝体質的な素因が存する時,障害された肝組織の異種蛋白に対する細胞性抗体を生じ,自己免疫性の機序が介在するようになる.このように免疫能の状態によって種々の肝病変が成立する.ここではHB抗原に対する細胞性免疫について述べることにする.

B型肝炎ウイルスの感染とその対策

母児間感染

著者: 岡田清

ページ範囲:P.1662 - P.1663

 HBs抗原を保有する妊婦から生まれた児ではHBs抗原が高率に陽性になり,さらにそのほとんどがcarrier状態になることが明らかにされている.このことは①母が妊娠中あるいは分娩後早期に急性B型肝炎に罹患した場合1)でも,②母が無症状のHBs抗原carrierの場合2)でも同様である.これら2つの状況のうち,日本を含むアジアやアフリカでとくに問題になるのは②であり,他方,欧米では①が問題となる.このような違いは妊娠年齢を構成する人口におけるHBs抗原carrierおよびHBs抗体保有者の率が,アジア・アフリカ地域と欧米とでは著しく異なることに起因している.このようなことから,本稿では,わが国でとくに重要視されているHBs抗原carrierの母からその児への感染について,当院での成績を中心として述べることにする.

家族間感染

著者: 小島峯雄 ,   亀谷正明 ,   宇土一道

ページ範囲:P.1664 - P.1666

 HBウイルスは,急性肝炎のように,一過性に体内で増殖し,排除されてしまうものばかりでなく,asymptomatic carrier,慢性肝炎,肝硬変症,ヘパトーマなどのように持続感染することが特徴である.とくに本邦では,欧米に比してHBs抗原陽性率が高く,家族を中心として感染することが明らかとなるにつれて,結核に次いで第2の国民病といわれるほどである.本稿では主にHBs抗原集積家系,B型急性肝炎,慢性肝炎の家族間感染自験例を呈示し,本邦のHBウイルス感染の特異性と感染予防の可能性について記述する.

人工透析

著者: 鈴木好夫 ,   三村信英

ページ範囲:P.1668 - P.1669

 ひところ,人工透析の肝炎発生は惨劇に等しかった.同時に人工透析に肝炎はつきものとする気風もなきにしもあらずであった.それから2,3年,肝炎は激減した・このように減少をみた理由の中に,透析療法からみたB型肝炎の認識のしかたと対策があったように思える.

輸血

著者: 村上省三

ページ範囲:P.1670 - P.1671

 わが国では,今までB型肝炎の感染源といえば輸血を考えるのが普通で,肝炎の発病前に,少しでも輸血がからんでいると,"それは輸血が原因"と簡単に結論されてきた.しかし,HB抗原発見以来,多くの研究者の努力によって明らかにされてきたデータからみると,そんなに簡単に考えるのはむしろ誤りであって,輸血による感染の予防を考える時にも,事態を正しく認識していないと,とんでもない誤ちをしでかすおそれがある.輸血と肝炎との関連を筆者はいまつぎのように考えてみている.

医療従事者

著者: 和田武雄 ,   坂本真一 ,   池田恒雄 ,   小池容史 ,   小谷俊一

ページ範囲:P.1672 - P.1673

HB抗原・抗体検出率
 WHOの報告1)によれば,医療従事者の肝炎発病率は非医療従事者の3〜6倍と言われ,わが国の調べ2)でも肝炎の罹病率は外科医に比較的高いとされる.関連して医療従事者・非医療従事者別にみた最近のHBs抗原・抗体検出率を参考にすると,表1のごとく抗原検出率には大差はないが,抗体検出率は明らかに医療従事者で高い.表2は本年教室で実施中の調査成績の一部であるが,抗原検出率は対象別・施設別に多少の差異を示しながらも,その平均は5.9%と非医療従事者の成績に近い.しかし抗体については平均46%を示し,施設別・対象別にかかわりなく高率であり,従来の諸報告の中でも最も高い.その内訳についてみると,内科系は外科系よりも抗原検出率はやや高いが,抗体については低く,両者を合わせて考えると外科系での感染率の方が高い.また内科系B施設はやや高い検出率を示すが,ここには人工透析従事者を含んでいる.むろん方法による成績の違いと,本法での非医療従事者についての対照成績を参考にしなければならないが,今回の成績を通じてみてもHBウイルス感染の頻度は明らかに医療従事者において高いと結論されよう.
 西岡3)らは東京都の実態調査でReed-Frostの流行模型から推して医療従事者の感染率は非医療従事者の約1.5倍,透析施設では7〜14倍になろうと報告している.

Anti-HBs免疫グロブリンによる予防

著者: 小島健一

ページ範囲:P.1674 - P.1675

 感染症の免疫学的予防には能動免疫としてのワクチンによる予防と,受身免疫としての抗体グロブリン注射による予防がある.B型肝炎(HB)の場合にもワクチンによる予防の実現が急がれているが,抗体グロブリンによる予防は伝染性肝炎(現在のA型肝炎=HA)に関する過去の経験に基づいて,欧米において臨床応用が進められ1〜4),わが国でも筆者らにより1年間試みられた5)

B型肝炎の治療

著者: 滝野辰郎 ,   高橋示人 ,   川村治雄 ,   杉野成

ページ範囲:P.1676 - P.1678

はじめに
 最近,ShulmanはTransfer Factor(TF)を慢性肝疾患患者に用い,有効であったと報告している.慢性肝疾患の成立要因として重視される細胞性免疫の低下に関連して,1つの対策が示されたわけである.
 一方,筆者らも抗ウイルス作用という立場からインターフェロン(IF)をHBs抗原陽性者に使用してみた.

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内科専門医を志す人に・トレーニング3題

著者: 三條貞三 ,   村上義次 ,   岡安大仁

ページ範囲:P.1679 - P.1681

問題1. 63歳の男性.既往に特別なことはない.1年前下肢に浮腫出現.現在血圧126/70,肝1.5横指ふれるも黄疸なし,尿蛋白4〜5g/日,尿糖(-),尿沈渣赤血球(±),白血球(-),血清クレアチニン 3.4mg/dl,BUN 28mg/dl,血清蛋白 5.8g/dl(Al 32.6%,γ37.1%),空腹時血糖 96mg/dl,総コレステロール 127mg/dl,GOT 74,GPT 29,Al-p 18,cholinesterase 0.37,α-Feto蛋白(-),Au抗原(-),血沈 42mm/h,CRP(-),RA(-),ASO 12u,ANF(-),補体値正常,眼底KW I〜II,心電図:A-VブロックI度,胸部X-p:異常なし.経静脈腎盂像で排泄不良であるが,腎の大きさ正常
 A.下記の疾患のうち,本症と考えられるものはどれか.

内科専門医を志す人に・私のプロトコール

X.外科治療のための転科

著者: 西崎統

ページ範囲:P.1682 - P.1683

手術のための転科に際して
 内科臨床研修中には,内科の各分野の疾患が,適応に応じて各科へ手術治療のために転科する場合が決して少なくない.たとえば,救急患者の緊急手術時,絶対適応時,比較的適応時,さらに悪性腫瘍の適応時などがある.いずれにしろ,各疾患の手術適応については,いろいろの要素を考慮し,慎重に検討してゆく必要がある.
 まず,合併症の有無は大切な要素の1つである.なかでもとくに,心,肺,肝疾患や重症糖尿病などは詳細な検討が必要である.また年齢的要素も手術適応の決定に与える因子の1つであることも忘れてはならない.さらに,内科側と外科側との見解の相違も考慮する必要がある.外科側からすると,おそらく早期の手術が必要なだけでなく,むしろ合併症の起こらない前に外科的に処置すべきと考えるであろう.このことがまた外科治療成績を向上させる一要因であると考えられる.

演習・X線診断学

単純X線写真による読影のコツ(10)頭部単純写真

著者: 古瀬信 ,   渡辺太郎 ,   大澤忠

ページ範囲:P.1693 - P.1696

 今回は比較的典型的所見を示す症例についてX線鑑別診断を中心に考えてみましょう.

超音波診断の読み方

婦人科

著者: 小林純郎

ページ範囲:P.1697 - P.1703

 はじめに
 最近,各科領域で超音波断層法の臨床応用が進められている.産婦人科領域においても,検査手技が簡単であること,造影剤の必要なしに軟部組織の描写にすぐれた特徴があること,さらに重要なことは,胎児に対する影響のないことであり,こうした点が,産婦人科領域での臨床検査として,すぐれたゆえんとして高く評価されているところであろう.検査データが二次元的平面像の連続として得ることができるので,立体的な観察が可能であることは,臨床上はなはだ有利なところであり,妊娠子宮内情報のみでなく.婦人科腫瘍の診断に広く応用され始めている理由の1つでもある.
 本編では,婦人科腫瘍診断の現況について,実例写真を中心にして述べてみたい.

診断基準とその使い方

片頭痛と筋収縮性頭痛

著者: 古和久幸

ページ範囲:P.1705 - P.1707

 頭痛は種々な原因でおこる症状である.その分類は諸家により異なり,ときに混乱をまねく場合もある.頭痛を主な原因により分類するのが,実際の診断,治療の面では便宜であり,これによる分類が多くなされている.
 ここでとりあげる片頭痛と筋収縮性頭痛は,いずれも慢性頭痛の中では頻度の多いものである.一般には内科的,神経学的検査で理学的所見に乏しく,補助診断によっても診断の決め手となるものは少ない.患者の自覚的愁訴が臨床診断の確定に大きな位置を占めている.

骨髄増殖症候群に属する疾患の相互関係

著者: 山口潜

ページ範囲:P.1708 - P.1710

はじめに
 Dameshek, W.1)は,骨髄ないし髄外造血巣に原発する原因不明の増殖性病変を骨髄増殖症候群(myeloproliferative syndromeまたはdisorder)として一括し,これを表のように慢性型と急性型に分類した.
 急性骨髄増殖症候群のうち,急性骨髄性白血病以外の疾患は稀で,鑑別に困難を感ずることは少ない2)が,慢性骨髄増殖症候群では,疾患相互に密接な関連性があり,とくに,骨髄線維症(以下MFと省略)と慢性骨髄性白血病(以下CMLと省略)の関係は極めて近縁と考えられる.また,Bouroncle, B. A. ら3)は,真性多血症として経過を観察していた300例のうち10例が,5ないし13年の経過中にMFに移行したという.一方,血小板血症以外の慢性骨髄増殖症候群でも血小板数の著明な増加をみることがあるが,数的・形態学的に著変がなくても血小板の機能的異常が証明される例が多い4)

緊急時の薬剤投与

胆嚢炎の急性期

著者: 堀口正晴 ,   吉沢国彦

ページ範囲:P.1712 - P.1713

はじめに
 胆道内の胆汁は細菌に対して好個の培地であり,胆石による胆汁の流通障害や胆道ジスキネジーなどによって胆汁のうっ滞が起こると,細菌は繁殖しやすくなり炎症が生ずる.炎症の成因については,そのほか膵液逆流・トコール酸などの異常胆汁酸あるいは胆汁うっ滞・アレルギーの関与など種々の説が唱えられている.しかし,いずれにしろ細菌感染が重要な役割を果たしていることは明らかである.それ故に,胆嚢炎の急性期の薬剤投与に際しては化学療法剤の選択がもっとも重要であろう.
 胆嚢炎の急性期には,最初から外科的療法を行うほうがよいとの主張もあるが,まず内科的に治療し,急性期が過ぎ全身状態の回復を待って手術を考慮するというのが一般的である.しかし,急性胆嚢炎が悪化し,急性壊疽性胆嚢炎・胆嚢蓄膿・穿孔・胆汁性腹膜炎および化膿性胆管炎・肝膿瘍・横隔膜下膿瘍などになると手術の絶対的適応であり,見逃せば致命的となるので,常にこれらを念頭において対処することが重要である.

臨床病理医はこう読む

血液凝固検査(4)

著者: 藤巻道男

ページ範囲:P.1714 - P.1715

トロンビン時間の延長
 出血症状はほとんどないが,打撲により紫斑を生じやすく,手術などでは止血しにくい症例である.血小板数と機能は正常であるが,PTTおよびプロトロンビン時間の延長がみられる.またトロンビン時間の延長とトロンビン作用を示す蛇毒であるレプチラーゼ時間は著しく延長している.したがってフィブリノゲンを中心とした異常が考えられる.トロンビン時間に影響を及ぼす因子には,フィブリノゲンの濃度と質的な異常,抗トロンビン(ヘパリンの増加,抗トロンビンIIの増加,FDPの抗トロンビンVIの産生など),フィブリン重合阻止作用(異常タンパクの出現,FDPの重合阻止因子Iの産生)などによる場合が考えられる.
 フィブリノゲン濃度はトロンビンを添加しての凝血法では減少を示しているが,非酵素反応による方法として56℃に3〜5分間の加熱法では正常値であり,またCohn分画I(3%アルコール),20%硫安飽和などによる沈殿法でも正常値を示している.また感作赤血球凝集反応法(HIT),ラテック凝集法,一次元免疫拡散法などによる免疫学的測定法にて正常値を示している.このように,トロンビン凝固性のフィブリノゲンは低値であるが,トロンビン以外の非酵素反応の測定によるフィブリノゲン濃度は正常値を示している.

図解病態のしくみ 炎症のしくみ・2

炎症の経過とchemical mediator

著者: 水島裕

ページ範囲:P.1716 - P.1717

 急性炎症の経過を模型的に示すと,おそらく図1のごとくになろう.炎症の経過は図に示したように,大きく組織障害,組織反応(急性滲出性炎)と修復の3つに分けられよう.また,炎疲そのものについては,血管の変化を中心とする第1期,多核白血球の浸潤を中心とする第2期,単核球の浸潤から修復までの第3期と3つの段階に分けられる.炎症の原因となる刺激が局所に加わった場合,組織からchemical mediatorが放出あるいは活性化され,それが血管内皮細胞に働き,血管運動神経の異常もあいまって,血管は拡張し,透過性が増す.この血管の変化から,多核白血球遊走がおこるまでには,血管内を中心とする複雑な変化がおこる.すなわち,図1の右側に示した細静脈拡張をはじめとする変化である.これらの変化は,大部分chemical mediatorによってもたらされるものと考えられるが,どのmediatorが重要かに関しては不明の点が多い.

小児の検査

胸部X線写真

著者: 島信幸

ページ範囲:P.1718 - P.1720

 小児の呼吸器疾患は,一般に経過が速やかで,早期診断,早期治療を要することが多い.X線検査は診断決定に極めて有力であり,とくに理学的所見の明白でないことの多い幼若児では,重視される.
 小児の胸部写真の誤診では,正常陰影を異常と見誤る"読み過ぎ"が圧倒的に多いようである.この原因は,患児の協力が得られないため,意図した正しい条件での撮影が行われにくいこと,人工産物や肺外陰影が混入しやすいこと,発育に伴い"正常像"が変化すること,などがあげられる.異常陰影をみつける前に,まずその写真がどんな状態で撮られているかを考えることが必要とされる.

皮膚病変と内科疾患

掻痕,亀裂を主徴とする皮膚病変と内科疾患

著者: 三浦修

ページ範囲:P.1722 - P.1723

掻痕を主徴とする皮膚病変と内科疾患
 掻痕とは,主として爪をもって掻破した場合に見られる多くは線状の皮膚欠損をいい,時には円形を呈することもある.この発疹は爪以外の機械 的刺激,たとえば釘にひっかけたりした場合にも発来する.掻痕は従ってその部分によって深さが異なり,中央部は深く,末端部は浅いのを例とし,角化層にとどまる場合,すなわち鱗屑から,棘細胞層に及ぶ場合,すなわちビランから,真皮や時には皮下組織をも露出して,すなわち潰瘍となって出血を伴い,治癒後瘢痕を遺すこともある.
 掻痕の発来は偶発性の外傷を除けば,自傷か掻痒の存在を意味する.自傷には心理的ないし精神科的な検索を要することはいうまでもない.掻痒は,発疹の存する場合にはそれぞれの病名が付せられて,それぞれの病因に従って内的病変の検索を要する.

関西労災病院の臨床討論会

著者: 朝田誠 ,   大塚滋 ,   脇坂憲昭 ,   ,   白木正孝 ,   勝仁 ,   北岡利雄 ,   尾崎誠 ,   坂本有甫 ,   古川賀捷 ,   岸田正昭 ,   今村修 ,   広部一彦 ,   吉見宏樹 ,   宇多雅信 ,   中真砂土 ,   藤原作平 ,   森村義行 ,   西田哲彦 ,   申順休 ,   高階経和

ページ範囲:P.1684 - P.1692

 昭和41年12月10日より始められた関西労災病院の臨床討論会は,3カ月毎に毎回,ゲスト・スピーカーを迎え,現在まで35回の興味ある症例をとり上げてきた.
 勝仁・内科部長の企画のもとに始められたこの臨床討論会は,阪神間の各都市の実地医家にとっては,この上ない魅力である.

オスラー博士の生涯・31

学会活動と学生への臨床指導

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.1725 - P.1728

 オスラーがジョンス・ホプキンス病院に赴任後,医学校が発足するまでは,卒後の若い医師の教育と一般診療に併せて,臨床的並びに病理的研究が行われたが,いよいよ学生が最高学年に進む1896年度からは,学生の教育に多大の時間を費やし,自分の研究をする時間がなかった.
 しかし,1897年から1898年にかけての多忙な生活の中でも,彼は方々からの講演を快くひき受け,また自分が意義深いと思って世話をした学会やクラブの会には,いつも積極的に出席するのであった.

読後随想

金子 仁著:「病理夜話」,「続・病理夜話」を読んで

著者: 島村喜久治

ページ範囲:P.1629 - P.1629

 著者は紹介するまでもなく本誌でおなじみの病理学者で,病理医で,「昔からものを書くのが好きで」あった日本医大の教授である.この数年の間に,本誌以外にも掲載したものも集めて,この2冊を刊行した.自費出版で,その費用の一部は,著者の恩師の故緒方知三郎教授から,亡くなられる数カ月前に戴いた,という.
 内容は,本誌に連載されていた時も好評であった病理医の苦心談と,胆石症を患らって手術をうけたのち,ノイローゼで苦しんだ著者自身の手記が2本の柱である.ことに.「続・病理夜話」のほうは,その半分近くをノイローゼとのたたかいが占めている.

洋書紹介

—Benjamin Rothfeld編—Nuclear Medicine In Vitro

著者: 入江実

ページ範囲:P.1710 - P.1710

文献・索引も完備した手頃な参考書
 本書は題名の示すごとく,in vitroの核医学についてまとめたものである.核医学というとscanningを中心としたいわゆるin vivoの核医学が従来から中心であるが,その後Radioimmunoassayの進歩を主力としたin vitroの核医学がこれに加わり,急速な進歩をとげつつあるのが現状である.これまでin vitroの核医学については,それぞれの応用領域において述べられたものが多く,核医学の一分野としてまとめられたものはなかった.本書はこのような境界領域にあるin vitro核医学についてまとめたという点で特徴を有し,また極めて価値の高いものであるといえよう.
 内容は35名の著者によりアイソトープの計測,放射化分析,検査室,循環血液量,B12,葉酸欠乏症,鉄代謝異常症のアイソトープを使った検体検査法から始まり,RadioimmunoassayとCompetitive Protein BindingAnalysis(CPBA)を総括した名称であるCompetitiveRadioassayの原理,さらに応用としてコーチゾール,甲状腺ホルモン,女性ホルモン,男性ホルモン,ジギタリス,成長ホルモン,TSH,ゴナドトロピン,ガストリン,グルカゴン,インスリン,カルシウム調節ホルモン(副甲状腺ホルモン,カルチトニン),レニンアンジオテンシン,アルドステロンの測定,次に最近問題となっている腫瘍抗原,脂肪の呼吸,蛋白漏出症,HB抗原,細菌学への応用,まとめとして将来への展望などを含んでいる.索引も完備しており総頁423で手頃な大きさである.各章の文献も豊富でよい参考となる.入門書としても,また現在この方面の仕事をしておられる方々にとっても,非常によい参考書としてすすめることができる書物である.

基本情報

medicina

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1189

印刷版ISSN 0025-7699

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