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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻11号

1975年10月発行

文献概要

今月の主題 感染症としてのB型肝炎

B型肝炎の予防

著者: 森次保雄1 多ケ谷勇1

所属機関: 1国立予防衛生研究所・腸内ウイルス部

ページ範囲:P.1614 - P.1615

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 B型肝炎ウイルス粒子は,デオキシリボ核酸(DNA)とDNAポリメラーゼ活性を持つ直径27nmのコア(core)を,リポ蛋白で覆った二重構造の直径43nmのDane粒子であろうとされている.Dane粒子の外皮(surface)抗原(HBs抗原)は直径23nmの小型粒子および管状粒子の抗原と共通であるが,Dane粒子のコアの抗原(HBc抗原)とは異なる.B型肝炎ウイルスは血清蛋白中に保護されていると比較的安定であるが,そうでない場合は不活化されやすいようである.このウイルスによる感染は多くの場合非経口的経路による.そして標的細胞である肝細胞に到達すると肝炎発病の機会を与える.一般に感染経過は長く,血中その他排泄物中にHBs抗原などが長期間検出されることがある.とくにHBs抗原を保持する母親から出生時または新生児期に感染した例は無症状のウイルス保持者となるため,重要な感染源として注目されている.
 HBs抗原を含む血液その他の排泄物はすべて感染源となり得ると疑われている.最も重要な感染源は血液であり,最も重要な感染経路は上述の非経口経路である.HBs抗原を含む唾液による飛沫感染とか,HBs抗原を含む血液その他の排泄物により汚染された飲食物などによる経口感染なども疑われているが,確証はない.B型肝炎は極めて密接な接触がないとヒトからヒトへ伝染しないとされているので,いま述べたように非経口感染以外の経路による感染がたとえ存在するとしても,その危険性は極めて小さいであろう.しかしながら,近年B型肝炎に関連する各種検査法の感度が高まり,HBs抗原を持つ血液がほぼ完全に排除されるようになったために,非経口感染によるB型肝炎の発生が減少した.したがって,現在は非経口経路以外の経路による感染の危険性が以前と比較すると相対的に増大していると考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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