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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻11号

1975年10月発行

文献概要

今月の主題 感染症としてのB型肝炎 HB抗原・抗体の基礎

HB抗原の細胞内局在—電顕による所見

著者: 田中慧1 三浦賢佑2 松本明2 鈴木司郎2

所属機関: 1京大・第1内科 2京大・ウイルス研

ページ範囲:P.1630 - P.1634

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 HBAgを合成していろ細胞の電顕的検索により,HBAgの合成および粒子形成,さらにHepatitis B Virus(HBV)の増殖に関する知見を得る可能性がある.invitroでの合成系は東北大・石田が人胎児肝器官培養系での増殖を報告しているが,一般の検索に使用することは未だ困難な状況である.in vivoでの検索はチンパンジーに感染実験が可能であるが,わが国では簡単に実験を行い得ない.しかし,人体内ではHBAg粒子が肝実質細胞で合成されていることがほぼ確実であるので,現時点では人肝生検材料が有力な検索対象である.しかし,過去において肝炎ウイルス発見の目的で多くの努力が電顕的検索に割かれていたにもかかわらず,ほとんど陽性の所見が得られていない.このことは検索方法あるいは機械の性能にも問題があったであろうが,生検の時期と細胞障害の程度との関連において陽性所見が得にくかったとも考えられる.現在ではHBAg持続陽性で肝細胞障害の少ないcarrierなどの症例も検索対象に含まれるようになり,このような症例から電顕的に特異な所見が発見され,それがHBAgと関連あるものとして報告されている.
 今までにHBAgと関連ある像として報告されているものに核内ウイルス様粒子と細胞質内フィラメント様構造がある.これら2つの特異な所見を中心として,HBAgをHB core Ag(HBcAg)とHB surface Ag(HBsAg)に分けて細胞内局在の考察を行う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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