icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina12巻11号

1975年10月発行

文献概要

今月の主題 感染症としてのB型肝炎 HB抗原・抗体の臨床

急性肝炎

著者: 三田村圭二1

所属機関: 1東大・第1内科

ページ範囲:P.1642 - P.1643

文献購入ページに移動
 急性ウイルス肝炎は,肝の急性炎症を主病変とする全身性のウイルス感染症と考えられる.ウイルスが細胞内に侵入し,増殖することによりウイルス感染が成立する.感染の成立には,ウイルスの株,毒性,量,感染経路と,生体の防御機構とが関与するが,多くの場合,生体の防御機構が大きな役割をする.生体の防御機構には,インターフェロンなどの非特異的機構と,体液性免疫と細胞性免疫による特異的機構とが存在する.
 急性B型肝炎においては,HBs抗原の無症候性保有者にみられるように,HBs抗原とHBc抗原が肝細胞に大量に存在していても,ほとんど退行変性も壊死も認あられないことなどから,少なくともB型肝炎ウイルスないしHB抗原は,直接肝細胞障害性に働くものではないと考えられる.B型肝炎ウイルスが侵入した場合,生体の防御機構,とくに免疫反応が始動し,肝細胞が破壊され,ウイルスが排除される.生体の免疫応答の差異により,症状と経過が異なる.臨床的には,不顕性感染(無症候性感染),ほとんど肝細胞障害を伴わない軽い胃腸症状を示すものから,無黄疸性の肝炎,さらに黄疸を伴う肝炎から劇症肝炎にいたるまで幅広いものである.大多数は自然に完治するが,死にいたる例,慢性化する例も認められる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?