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今月の主題 感染症としてのB型肝炎 B型肝炎ウイルスの感染とその対策
医療従事者
著者: 和田武雄1 坂本真一1 池田恒雄1 小池容史1 小谷俊一1
所属機関: 1札幌医大第1内科
ページ範囲:P.1672 - P.1673
文献購入ページに移動WHOの報告1)によれば,医療従事者の肝炎発病率は非医療従事者の3〜6倍と言われ,わが国の調べ2)でも肝炎の罹病率は外科医に比較的高いとされる.関連して医療従事者・非医療従事者別にみた最近のHBs抗原・抗体検出率を参考にすると,表1のごとく抗原検出率には大差はないが,抗体検出率は明らかに医療従事者で高い.表2は本年教室で実施中の調査成績の一部であるが,抗原検出率は対象別・施設別に多少の差異を示しながらも,その平均は5.9%と非医療従事者の成績に近い.しかし抗体については平均46%を示し,施設別・対象別にかかわりなく高率であり,従来の諸報告の中でも最も高い.その内訳についてみると,内科系は外科系よりも抗原検出率はやや高いが,抗体については低く,両者を合わせて考えると外科系での感染率の方が高い.また内科系B施設はやや高い検出率を示すが,ここには人工透析従事者を含んでいる.むろん方法による成績の違いと,本法での非医療従事者についての対照成績を参考にしなければならないが,今回の成績を通じてみてもHBウイルス感染の頻度は明らかに医療従事者において高いと結論されよう.
西岡3)らは東京都の実態調査でReed-Frostの流行模型から推して医療従事者の感染率は非医療従事者の約1.5倍,透析施設では7〜14倍になろうと報告している.
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