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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻13号

1975年12月発行

今月の主題 SLE—成因から治療まで

SLEの臓器症状

関節

著者: 横張龍一1

所属機関: 1国立病院医療センター

ページ範囲:P.1936 - P.1937

文献概要

 多発関節痛あるいは関節炎は,SLE患者の約半数の初発症状であり,経過中,大部分の患者に認められる.SLEが正しく診断される前には,慢性関節リウマチ(RA)として治療されていることが少なくない.実際,SLEの関節症状は,アメリカリウマチ協会(ARA)のRA診断基準を満足していることがあるので,ARAがSLEの分類基準を設定する際にも鑑別の主たる対象をRAにおいていた.
 SLEの関節症状はコントロールが容易である.少量のステロイド剤で疼痛の寛解がみられるし,機能障害をもたらすほどに関節変形がくることは稀である.関節症状を主症状とする軽症のSLEは,RAと同様に,非ステロイド系の抗リウマチ剤で治療されてもよい(SLEと診断される前,RAとして金製剤が投与され有効であった上,腎障害を誘発した様子もみられなかった例を経験している.この症例は後に,胸膜炎を併発し,その際みとめられた指尖の紅斑がきっかけでSLEが疑われ,LE細胞,補体価の低下,白血球減少症などが確認されて,確診された.退院して筆者らの手をはなれたあと,自殺という不幸な転帰をとったが,SLEのpsychosisによるものと推測された).SLEの病変が関節という単一の器官にとどまらず多臓器障害性の様相を呈してきた時には,多量のステロイド剤を投与して非可逆的病変を防がなければならない.SLEが正しく診断されていれば,白血球や補体価の動き,抗核抗体の様相などを目安に治療方針がきめられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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