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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻2号

1975年02月発行

文献概要

今月の主題 血液ガスの基礎と臨床

血液ガス測定法の歩み

著者: 井川幸雄1

所属機関: 1慈大中検

ページ範囲:P.130 - P.131

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Van Slykeの時代
 液体中に存在する物質が化学反応の結果,定量的にガス体に変化するとすれば,これを一定圧の下でその容量を測る(volumetric)か,あるいは一定容積に閉じこめて,その圧を測る(manometric)ことによって定量することができる.また,もし発生するガスが混合物であれば,特異的な吸着剤を使用して個別のガスの分別定量を行うことができる.血液ガスのこのような方法によるガス分析は1902年BarcroftとHaldaneによって行われたが,この領域での画期的な技術革新はVan Slykeによる1917年volumetricな血液ガス分析装置の開発で1),彼は当時Rockfeller Instituteで糖尿病の研究の一環として,血漿中総CO2の臨床化学的定量を行っている.これは真空中にガスを発生させ,その容量を測定するvolumetricな方法であったが,1924年にはVan SlykeとNeillによるmanometricな装置が発表され2),これが現在に至るまで,広く行われているわけである.これにひき続いての数年,Van Slykeと共同研究者達はこのガス分析装置を用いて,血液と尿の種々の化学成分の分析法を開発した.Van Siykeのmanometricな装置は非常に微量なガスを精度よく正確に測ることができるし,その反応のステップもそれほど複雑ではないけれども,ただ,大量の検体処理という臨床化学の要求には応じることができず,現在の臨床検査室ではほとんどすべての成分の分析が比色法で行われ,結局は最初に開発されたCO2と02の分析法として臨床検査室にmanometryが残り,これすら,他の方法に移りつつあるのが現況であろう.また,1951年にはNatelsonの装置がVanSlyke装置の微量法として発表され,これも多くの愛好者をもっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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