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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻2号

1975年02月発行

診療相談室

血清TGの低いとき

著者: 竹内一郎1

所属機関: 1慶大・内科

ページ範囲:P.238 - P.239

文献概要

質問 鎖空腹時採血,血清トリグリセライドの低い正常範囲はいくらですか.10〜15〜20mg/dlでもよいでしょうか.もしこれで正常でないとすると,どのような病気を考え,どんな検査でわかりますか.(愛媛県 T生 47歳)
 血清トリグリセライド(TG)値のみならず,一般に,血清脂質の正常値に関してはしばしば議論されているが,厳密には未だ明白な見解が得られていない.血清脂質値を年齢別にみると,年齢と共に増加し,男女にて多少の差はあるが,40〜50歳台をピークとして老齢化と共に減少する動きを示す.さらに,地域別にみるとその値にかなりの差があり,食事などの環境の影響を容易にうけることが示唆されている・健常者のTG値の度数分布は,高い値に偏った非正規分布を示しているため,通常,対数正規確率紙を用いて正常域を設定しており,その意味では正常域をきめることはできるとしても,高脂血症を粥状硬化症への前段階とみる考え方,さらに,いわゆる健常者にも,かなりの程度に動脈壁への脂質の沈着がみられる事実からすれば,環境によってかなりの動きを示す値から得られた範囲を"正常"とすることの妥当性が,常に問題になるわけである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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