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文献概要
今月の主題 心身症からみた症候群 心身症からみた症候群
心臓神経症と狭心症
著者: 鈴木仁一1
所属機関: 1東北大長町分院心療内科
ページ範囲:P.287 - P.289
文献購入ページに移動はじめに
心身医学的には,両疾患を発生機序の上からみて厳密に区別することは困難であるという大胆なプロローグにならざるを得ない.情動ストレスが心血管系に反応を生じ,血圧上昇,心拍数増加など身体症状をおこすことはCannon1)により実験的に証明されている.その過程は,情動ストレス→大脳皮質→辺縁系→視床および視床下部→自律神経・内分泌系,ことにカテコルアミン→心脈管系とインパルスが伝導するものと考えられている.かくして心理的原因は最初は機能的異常,すなわちNCA類似状態をひきおこしただけであっても,情動ストレスの継続,遺伝的因子,環境因子がからみあってくると,後述する情緒性冠不全の病状に移行し,遂には器質的な冠動脈疾患にまで発展するであろうと予測されており,このため,最近はVariant Anginaと情緒性冠不全の鑑別や,Hyperkinetic Heart Disease,さらには若年性狭心症の増加などの観点から問題が新しく提示されはじめている.しかし,ここでは実地臨床の方々や学生の人々の知識としての内容がのぞまれているので,常識的な事柄を述べておくにとどめたい.
心身医学的には,両疾患を発生機序の上からみて厳密に区別することは困難であるという大胆なプロローグにならざるを得ない.情動ストレスが心血管系に反応を生じ,血圧上昇,心拍数増加など身体症状をおこすことはCannon1)により実験的に証明されている.その過程は,情動ストレス→大脳皮質→辺縁系→視床および視床下部→自律神経・内分泌系,ことにカテコルアミン→心脈管系とインパルスが伝導するものと考えられている.かくして心理的原因は最初は機能的異常,すなわちNCA類似状態をひきおこしただけであっても,情動ストレスの継続,遺伝的因子,環境因子がからみあってくると,後述する情緒性冠不全の病状に移行し,遂には器質的な冠動脈疾患にまで発展するであろうと予測されており,このため,最近はVariant Anginaと情緒性冠不全の鑑別や,Hyperkinetic Heart Disease,さらには若年性狭心症の増加などの観点から問題が新しく提示されはじめている.しかし,ここでは実地臨床の方々や学生の人々の知識としての内容がのぞまれているので,常識的な事柄を述べておくにとどめたい.
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