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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻4号

1975年03月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント I.尿検査

尿アセトン体

著者: 斎藤正行1

所属機関: 1北里大臨床病理

ページ範囲:P.414 - P.415

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陽性を示す場合
 ケトン体(別名アセトン体)とはアセト酢酸,アセトン,β-オキシ酪酸の総称で,これらのうち生体内で一次的に生成されるのはアセト酢酸である.アセトンはアセト酢酸が脱炭酸して,β-オキシ酪酸は組織内でアセト酢酸が還元されて生ずる.アセト酢酸は比較的強酸で,血中で予備アルカリと強く結合することから過去においてはケトン体というとアチドージスや代謝異常の元凶のように考えられていた、しかし,もともとアセト酢酸は脂肪酸の生体内酸化の正常中間産物で,常時体内,特に肝において脂肪酸からアセチルCoAを経て生合成され,筋肉その他の組織に運ばれて,これらの組織のエネルギー源の一部として役立っている.たとえば心筋はエネルギーの50%を脂肪酸,つまりアセト酢酸に仰いでいるといわれる.
 ところが表の如く,何らかの機転で糖質の供給が不足または糖質の酸化に故障が生じ(利用障割,TCA回路の回転が流れなくなると生体はエネルギー供給源を脂肪に主に求めるようになり,肝でのアセト酢酸の合成は亢進し,一方,末梢組織での利用障害が展開すると,つまり分解の速度が肝における生成の速度に劣るようになるとケトン体は血中に異常増量し,腎排泄閾は低いことから尿中にすぐ排泄されるようになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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