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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻4号

1975年03月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント I.尿検査

ヘモグロビン尿

著者: 瀧田資也1 柳務1

所属機関: 1名大・第1内科

ページ範囲:P.428 - P.429

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 赤血球の生理的崩壊はもちろん,赤血球寿命の短縮に基づく異常な赤血球崩壌(溶血性貧血)も,通常は網内系細胞内にて行われ,血管内溶血は比較的まれな病的状態であるが,血管内溶血が生じると,ヘモグロビンは循環血漿中に遊離し,すみやかにα2グロブリン分画に属するハプトグロビンと結合し,分子量約31,000の複合体をつくる。この複合体は高分子量なので腎糸球体を通過せず,ヘモグロビンの尿中への流失,およびヘモグロビン尿による腎障害を防ぐ働きをしているが,比較的早い時期に網内系細胞にとりこまれ,ヘモグロビン処理代謝機構に入り,ヘム部会は間接ビリルビンに,グロビンはアミノ酸に変化する、血管内溶血が急激あるいは持続性でかつ高度の場合には,ヘモグロビンはハプトグロビン結合能(血漿100mlあたり100〜140mgのヘモグロビンを結合)をこえる量になり,遊離ヘモグロビンが循環血漿中に出現し,ヘモグロビン血症を呈し,その濃度に応じて,血漿は淡紅色からブドウ酒様鮮紅色まで種々の程度の赤色調を示す.遊離ヘモグロビンの一部はヘムとグロビンに分解し,ヘムはアルブミンと結合してメトヘムァルブミンとなるが,一定濃度以上に達した遊離ヘモグロビンは腎糸球体から濾過され,ヘモグロビン尿を生じ,酸性泉の場合にはメトヘモグロビンとなり濃褐色を呈し,アルカリ性尿の際には鮮紅色を示す.
 ヘモグロビンは近位尿細管にて一部が再吸収され,尿細管上皮内にてヘモジデリンに変化するが,その上皮細胞が変性脱落すると,ヘモジデリンは上皮細胞内外の褐色色素顆粒(プロシヤ青染色で青染)あるいは円柱として尿沈渣中に出現し,ヘモジデリン尿を呈す,血管内溶血の初期にはヘモグロビン尿はあってもヘモジデリン尿はなく,その出現は溶血後数日たってからである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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