文献詳細
文献概要
特集 これだけは知っておきたい検査のポイント III.髄液検査
髄液蛋白
著者: 濱口勝彦1 大野良三1
所属機関: 1慶大神経内科
ページ範囲:P.448 - P.449
文献購入ページに移動異常値を示す疾患
髄液検査は神経疾患の補助診断法として今日もっとも広く行われ,かつ重要な位置をしめているが,とくに髄液蛋白に関しては近年電気泳動法および免疫電気泳動法の応用により,さらに詳細な検討がなされつつある.髄液蛋白の増加は表1に示すように多くの神経疾患に認められるが,50〜150mg/dl程度にとどまる場合が多く,200mg/dlをこえるものは化膿性,結核性および真菌性髄膜炎,脳室内出血,クモ膜下出血,ギランバレー症候群などに限られる.また脊髄腫瘍,クモ膜癒着などにより脊髄腔が遮断された場合には時に6g/dlにも及ぶ蛋白増加をみることがある(Froin徴候).また多発性硬化症では総蛋白に必ずしも増加を認めずγ-グロブリンの増加を認める.グロブリンの検査については従来,Pandy反応,Nonne-Apelt反応などが用いられてきた.これら諸反応の有用性を再検討するために当院中央検査科にて施行された成績を表2に示す.Pandy反応,Nonne-Apelt反応およびTryptophan反応につき,それぞれ既知濃度のγ-グロブリン,アルブミン,および希釈血清を用いて比較検討したものである、Pandy反応はアルブミン20mg/dl,あるいは希釈血清40mg/dlにてすでに(⧺)を示すほど鋭敏であり,グロブリンに特異的とはいえない.またTryptophan反応も40mg/dlではアルブミンにも希釈血清にもすべて(+)を示し,結核性髄膜炎に特異的でないことが明らかである.これに比しNonne-Apelt反応は相当量のアルブミンにも反応せず,グロブリンに特異的であり,ある程度γ-グロブリン濃度と相関をもつので,スクリーニングテストとしては有用であるといえる.しかし3〜4mどの髄液を用い比較的簡易に髄液蛋白分画を施行しうる現在では,むしろ蛋白分画測定をルーチン検査とすることが望ましい.
髄液検査は神経疾患の補助診断法として今日もっとも広く行われ,かつ重要な位置をしめているが,とくに髄液蛋白に関しては近年電気泳動法および免疫電気泳動法の応用により,さらに詳細な検討がなされつつある.髄液蛋白の増加は表1に示すように多くの神経疾患に認められるが,50〜150mg/dl程度にとどまる場合が多く,200mg/dlをこえるものは化膿性,結核性および真菌性髄膜炎,脳室内出血,クモ膜下出血,ギランバレー症候群などに限られる.また脊髄腫瘍,クモ膜癒着などにより脊髄腔が遮断された場合には時に6g/dlにも及ぶ蛋白増加をみることがある(Froin徴候).また多発性硬化症では総蛋白に必ずしも増加を認めずγ-グロブリンの増加を認める.グロブリンの検査については従来,Pandy反応,Nonne-Apelt反応などが用いられてきた.これら諸反応の有用性を再検討するために当院中央検査科にて施行された成績を表2に示す.Pandy反応,Nonne-Apelt反応およびTryptophan反応につき,それぞれ既知濃度のγ-グロブリン,アルブミン,および希釈血清を用いて比較検討したものである、Pandy反応はアルブミン20mg/dl,あるいは希釈血清40mg/dlにてすでに(⧺)を示すほど鋭敏であり,グロブリンに特異的とはいえない.またTryptophan反応も40mg/dlではアルブミンにも希釈血清にもすべて(+)を示し,結核性髄膜炎に特異的でないことが明らかである.これに比しNonne-Apelt反応は相当量のアルブミンにも反応せず,グロブリンに特異的であり,ある程度γ-グロブリン濃度と相関をもつので,スクリーニングテストとしては有用であるといえる.しかし3〜4mどの髄液を用い比較的簡易に髄液蛋白分画を施行しうる現在では,むしろ蛋白分画測定をルーチン検査とすることが望ましい.
掲載誌情報