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特集 これだけは知っておきたい検査のポイント VIII.血液化学検査
無機リン
著者: 尾形悦郎1
所属機関: 1筑波大内科
ページ範囲:P.598 - P.599
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血清あるいは血漿無機リン酸濃度の異常をきたす疾患を表に示す.血清あるいは血漿中のリン酸は,無機リン酸のほか,エステル型リン酸,リン脂質などの形で存在し,血漿中の総リンは12mg/100mlに達する.しかし,通常は無機リン酸の元素リンの量を血清リン(P)として表現している.高P血症をきたすもっとも多い疾患は腎不全である.甲状腺中毒症,先端肥大症の活動期にも高P血症となる.ビタミンD中毒症でも高P血症となることがある,ビタミンDそれ自体は血清Pを上昇させるように作用するが,同時にみられる高Ca血症は血清Pを低下の,一方高Ca血症に山来する腎障害は上昇の影響を示すので,これら病態のバランスにより,血清P値はいろいろの値をとる.抗腫瘍剤などにより白血病,とくに慢性白血病を治療する際に大量の白血病細胞の崩壊が起こると,細胞内から大量のPが遊離し,高P血症となり,その二次的結果として低Ca血症が起こってくる,副甲状腺ホルモンの作用の低下によっては低Ca血症とともに高P血症が起こってくる.
血清Ca濃度に上昇がみられず,しかも低P血症が長期間つづくと,くる病あるいは骨軟化症が起こってくる.逆にくる病あるいは骨軟化症においては,一部の病態(hypophosphatasiaなど)を除いて,いずれも著しい低P血症がみられる.ビタミンD欠乏症あるいはビタミンD依存症(vitamin D dependent rickets)では当然低P血症となり,血清Ca値も低下する.各種原因による尿細管そのものの障害により尿細管におけるPの再吸収が障害されても低P血症となるが,この場合血清Ca値は正常値を保つ.いわゆるビタミンD抵抗性くる病(家族性および散発性低P血症),尿細管性アシドーシス,Fanconi症候群などがそれである。長期大量のアルミゲルの投与(リン酸の腸管からの吸収を阻害する),およびある種の利尿剤の投与によっても低P血症が起こりうる.副甲状腺機能亢進症では,典型的な場合,高Ca血症とともに低P血症の状態となる.ただし副甲状腺機能亢進症にかぎらず,高Ca血症は腎機能が正常であるかぎり,一般に低P血症をきたす傾向にある.低K血症では腎からのリン酸排泄が増し,低P血症をきたすことがある.またグラム陰性菌による敗血症でも低P血症が起こるとされている.
血清あるいは血漿無機リン酸濃度の異常をきたす疾患を表に示す.血清あるいは血漿中のリン酸は,無機リン酸のほか,エステル型リン酸,リン脂質などの形で存在し,血漿中の総リンは12mg/100mlに達する.しかし,通常は無機リン酸の元素リンの量を血清リン(P)として表現している.高P血症をきたすもっとも多い疾患は腎不全である.甲状腺中毒症,先端肥大症の活動期にも高P血症となる.ビタミンD中毒症でも高P血症となることがある,ビタミンDそれ自体は血清Pを上昇させるように作用するが,同時にみられる高Ca血症は血清Pを低下の,一方高Ca血症に山来する腎障害は上昇の影響を示すので,これら病態のバランスにより,血清P値はいろいろの値をとる.抗腫瘍剤などにより白血病,とくに慢性白血病を治療する際に大量の白血病細胞の崩壊が起こると,細胞内から大量のPが遊離し,高P血症となり,その二次的結果として低Ca血症が起こってくる,副甲状腺ホルモンの作用の低下によっては低Ca血症とともに高P血症が起こってくる.
血清Ca濃度に上昇がみられず,しかも低P血症が長期間つづくと,くる病あるいは骨軟化症が起こってくる.逆にくる病あるいは骨軟化症においては,一部の病態(hypophosphatasiaなど)を除いて,いずれも著しい低P血症がみられる.ビタミンD欠乏症あるいはビタミンD依存症(vitamin D dependent rickets)では当然低P血症となり,血清Ca値も低下する.各種原因による尿細管そのものの障害により尿細管におけるPの再吸収が障害されても低P血症となるが,この場合血清Ca値は正常値を保つ.いわゆるビタミンD抵抗性くる病(家族性および散発性低P血症),尿細管性アシドーシス,Fanconi症候群などがそれである。長期大量のアルミゲルの投与(リン酸の腸管からの吸収を阻害する),およびある種の利尿剤の投与によっても低P血症が起こりうる.副甲状腺機能亢進症では,典型的な場合,高Ca血症とともに低P血症の状態となる.ただし副甲状腺機能亢進症にかぎらず,高Ca血症は腎機能が正常であるかぎり,一般に低P血症をきたす傾向にある.低K血症では腎からのリン酸排泄が増し,低P血症をきたすことがある.またグラム陰性菌による敗血症でも低P血症が起こるとされている.
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