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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻4号

1975年03月発行

文献概要

特集 これだけは知っておきたい検査のポイント XI.腎機能検査

クレアチニンクリアランス

著者: 東条静夫1 土屋尚義1

所属機関: 1干葉大第1内科

ページ範囲:P.678 - P.679

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 クレアチニンは糸球体で限外炉過の後尿細管で一部の排泄がつけ加えられるが,ヒトにおける尿細管での態度には不明の部分も多い.臨床的定量法としてのFolin法は真のクレアチニンのほかにいわゆる"non-creatinine Chromogen Substance"にも反応し,両者の腎における排泄態度は全く異なるので(後者は腎での排泄は著しく低い),測定されるtotal clearance(Ccr)の意味づけは生理学的には難点が多い.臨床上糸球体炉過機能の正常ないし中等度低下の群では同時に正確に測定されたCcr/Cthioは0.8〜1.2でよく一致するが,これは前記non-creatinine chromogen substance(total chromogenの20%程度)とクレアチニンの尿細管排泄の相互のたまたまの結果であって,高度の糸球体機能障害(GFR 30ml/min以下)の例や外因性にクレアチニンを負荷してPcrの上昇している状態ではCcr/Cthio比は1.0〜2.5と上昇する.
 クレァチニンは骨格筋の代謝終末産物であって,外因性の食事蛋白に直接依存せず,Pcrは日内変動が少ない(10%以下),尿量も0.5ml/min以下でなければ排泄態度への影響が少ない性質を有するために長時間クリアランス法として有利であり,また内因性物質で特別の負荷を要しないために臨床例で容易に頻回くり返しの測定が可能である.また採尿が正確に行われる例では外来での短時間クリアランス(30分〜2時間)も可能である.クレアチニンの腎排泄態度に生理的な難点はあるにしても,正確に測定されたCcrは臨床的に糸球体の機能障害程度のおおよその目安をつけるのに十分であり,必要に応じてより正確な外因性クリアランス法(Inulin,Thiosulfateなど)を施行するための症例の選択や施行術式の決定,病状の経過の把握に最も簡便な指標となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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