medicina12巻5号

1975年04月発行

今月の主題 糖尿病への新たなる対処 インスリンをめぐる診療のトピックス

膵移植

著者： 繁田幸男¹ 七里元亮¹

所属機関： ¹阪大第1内科

ページ範囲：P.782 - P.783

　すでに1892年MinkowskiやHédenらが膵臓移植により糖尿病の発症が阻止されることを認めているが，1922年のインスリン発見に伴い，膵臓移植は糖尿病治療法の1つとしての実験的研究の域を脱し得ず，陽の目をみるにいたらなかった．しかし近年にいたり，"若年型糖尿病患者にインスリン療法を行っても血管病変の発症および進展を阻止し得ない"というインスリン療法の限界をみるにいたり，刻々変化する生体リズムに一致したインスリン投与法の開発の1つとして，再び膵臓移植が注目されてきた．