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文献詳細

雑誌文献

medicina12巻6号

1975年05月発行

文献概要

今月の主題 出血傾向の新知識 出血傾向の管理

抗線溶剤の使い方

著者: 青木延雄1 吉田信彦1

所属機関: 1自治医大内科

ページ範囲:P.954 - P.955

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 種々のストレスや炎症,組織損傷などにより,その局所や血中において,プラスミノゲン活性化因子が増加し,自然に存在する阻害因子との間の平衡が破れ,過剰にプラスミノゲンが活性化された状態が,病的な線溶亢進状態である.プラスミノゲンが活性化して出現したプラスミンはフィブリン溶解以外に,フィブリノゲン,第V,第VIII因子などの血液凝固因子を分解し不活性化したり,そのほかにもカリクリノーゲンを活性化し,キニン系を賦活して毛細血管透過性を亢進させ,炎症反応を増強せしめ,またACTHを分解する作用を持つとされている.
 このように線溶亢進は炎症やアレルギーなどにも関連を有しており,出血傾向を惹起するほかに種々の障害をきたすことに注目する必要がある,したがって,過剰な線溶の亢進は抑える必要があるが,一方,線溶活性は血液凝固活性といわば平衡状態を保ち,生体全体の動的平衡状態の一端を担っていることも事実であり,いたずらに線溶活性を抑え,その動的平衡を破ることは,各種臓器におけるフィブリン析出ないしは血栓形成傾向の増大という好ましからざる状態をきたし,危険であることを十分認識する必要がある.したがって,抗線溶剤は,病的線溶活性の亢進とそれに基づく各種障害に対して極めて強力な武器ではあるが,一方,安易に不必要な抗線溶剤の投与を続けることは厳に慎むべきと考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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