icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina12巻6号

1975年05月発行

文献概要

今月の主題 出血傾向の新知識 出血傾向の管理

出血傾向と手術

著者: 村上文夫1

所属機関: 1阪大第2外科

ページ範囲:P.956 - P.959

文献購入ページに移動
はじめに
 外科手術に際し,大きな血管からの出血はいちいち結紮止血しなければならないが,無数の毛細血管からの出血はとくに手を加えなくても自然にとまってしまい,何ら手術操作の妨げとはならない.これは出血と同時に毛細血管機能,血小板機能ならびに血液凝固機能の3者が協調的に働いて自然止血の機序が営まれ,血管破綻孔がフィブリン塊でしっかりと塞がれてしまうからである.しかしながら,これら3つの機能のいずれかに障害があるか,または凝固系に拮抗する線溶系が異常に亢進した場合には,手術創からとめどない毛細管出血が起こって,ときには生命をも危うくすることがある。したがって,術前にこのような出血性素因の有無をよく検し,もし異常があれば予めこれに対する的確な止血対策を立てておくことが,外科手術を安全に遂行する上に,きわめて重要である.
 本稿においては,とくに術前止血検査に関する2,3の問題点を取り上げて概説
したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?