今月の主題 感染症—最近の話題
細菌感染症—原因菌の変遷
アシネトバクター感染症
著者:
清水喜八郎12
奥住捷子2
所属機関:
1筑波大感染内科
2東大中央検査部
ページ範囲:P.1160 - P.1161
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Acinetobacterは自然界に広く分布し,水や土の中からしばしば分離される.近年,ヒトの喀痰,尿,血液,膿などから分離例が増加し,その病原性が議論されている.本菌は,Gram(-)の球桿菌で,チトクロームオキシダーゼ(-),硝酸塩還元(-),運動性(-)で,古くは,糖を酸化によって分解するものはHerellea vaginicolaあるいはBacterium anitratum,糖の分解性のないものは.Mima PolymorphaあるいはMoraxella lwoffiと呼ばれていたが,1954年Brisou et PrevotはAcinetobacter属を設け,糖分解菌をAcinetobacter anituratum,また,糖非分解菌をAcinetobacter lwoffiとした.1971年にspeciesはAcinetobacter calcoaceticusのみとなり,この中にAcinetobacter anitratusもAcinetobacter lwoffiも含まれることになった.