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文献概要
今月の主題 甲状腺疾患のすべて 臨床的アプローチ 甲状腺機能亢進症の治療
バセドウ・クリーゼとその治療
著者: 小倉一1 大江勝1
所属機関: 1神戸大第2内科
ページ範囲:P.1370 - P.1371
文献購入ページに移動甲状腺クリーゼ(ストーム)とは
甲状腺機能亢進症の経過中になんらかの増悪因子が加わって,病態が極端に悪化する状態をいう.臨床症状としては,極度の焦燥,せん妄および昏睡,40℃あるいはそれ以上の高熱,不安,血圧低下,嘔吐,下痢などの症状が急激に発来してくる状態をいう.本症は臨床的診断名であって,病理解剖によっても特有の病変は認められず,本質的に甲状腺機能亢進症となんら異なるところはない.
発症頻度は,甲状腺機能亢進症の約1.7%1)とされていたが,最近の本症の予防,とくに外科的術前処置が進歩して,いわゆる術後甲状腺クリーゼは比較的まれなものとなったが,いったん発症すれば,重篤な症状を示し,しばしば死に至り,今日なお死亡率は20%2)をこえるものである.しかし,前述のごとく,本症状は臨床的病状をさすものであり,どの程度以上のものをクリーゼというかは確定されていないので,いわゆる内科的なクリーゼ"medical crisis"は,重症な甲状腺機能亢進症では,いつでもおこりうる可能性があり,早期の判定と処置が必要である.
甲状腺機能亢進症の経過中になんらかの増悪因子が加わって,病態が極端に悪化する状態をいう.臨床症状としては,極度の焦燥,せん妄および昏睡,40℃あるいはそれ以上の高熱,不安,血圧低下,嘔吐,下痢などの症状が急激に発来してくる状態をいう.本症は臨床的診断名であって,病理解剖によっても特有の病変は認められず,本質的に甲状腺機能亢進症となんら異なるところはない.
発症頻度は,甲状腺機能亢進症の約1.7%1)とされていたが,最近の本症の予防,とくに外科的術前処置が進歩して,いわゆる術後甲状腺クリーゼは比較的まれなものとなったが,いったん発症すれば,重篤な症状を示し,しばしば死に至り,今日なお死亡率は20%2)をこえるものである.しかし,前述のごとく,本症状は臨床的病状をさすものであり,どの程度以上のものをクリーゼというかは確定されていないので,いわゆる内科的なクリーゼ"medical crisis"は,重症な甲状腺機能亢進症では,いつでもおこりうる可能性があり,早期の判定と処置が必要である.
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