icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina13巻1号

1976年01月発行

文献概要

今月の主題 不整脈のハイライト 比較的難解な不整脈

Concealed A-V conduction(潜伏伝導)

著者: 外畑巌1 奥村満麿2

所属機関: 1名大中検 2名大第1内科

ページ範囲:P.53 - P.56

文献購入ページに移動
 Concealed A-V conduction(CAVC)は,1948年Langendorf1)により臨床心電図学に導入された用語で,刺激が房室接合部に侵入したが,そこを完全に通過し,心房または心室へ伝導する前に消滅したことが後続事象(続いて起こる刺激伝導および生成)に及ぼす影響(後効果,aftereffects)により推測される現象を指す.後効果として,①後続刺激の伝導遅延またはブロック,②房室接合部pacemakerの刺激生成が予期される時点より遅れる,③稀に後続刺激の伝導促進,があげられる.
 CAVCの概念は古く,すでに1890年代には動物実験成積より知られており,1927年には,Kaufmannらは初めてこの概念を臨床心電図に適用した.1948年以降,CAVCはLangendorf,Pick,Katz1〜4)らにより臨床心電図で広範に研究され,臨床不整脈解析における意義が確立された.以前,CAVCの発生部位は房室結節と考えられていたが,Hoffmanら5),Mooreら6,7),Watanabeら8)による微小電極法,近接双極法を用いた動物実験により,伝導途絶は房室接合部のみならず,His-Purkinje系で,また房室接合部の種々なlevelで起こることが立証された.これらのことは,房室伝導系が電気生理学的特性の異なる種々な心筋組織より構成されていることより,容易に理解しうる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら