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Cyclopedia Medicina
Local panatrophy
著者: 古川哲雄1
所属機関: 1東大神経内科
ページ範囲:P.151 - P.152
文献購入ページに移動 1886年,Gowersは肩,上下肢に局所的な陥凹を示す35歳の女性について記載している1).彼はこれを硬皮症の一種ではないかと考えていたのであるが,1903年になって,このような病気を一独立疾患と考え,"local panatrophy"と命名した.この疾患は機能障害を起こすことがまれなため,見逃されている可能性があるとして,彼は臨床家の注意をうながそうとしたのである.しかし,彼の論文はあまり注目されず,以来local panatrophyとして報告されたものはなかった,神経学の教科書でも,わずかにS. A. K. WilsonのNeurology(1940)に記述があるにすぎない.しかし,楠井と西村2)の「稀らしい筋萎縮性疾患―1新病型か―」,豊倉ら3)の「Multifocal panatrophy」としての報告は本症にあたる.
本症は,躯幹あるいは四肢にみられる局所的な皮膚の凹みであり,1個のことも,また多数みられることもある.大きさはさまざまで,コイン大から,一肢全体,さらにより広い範囲に及ぶものまである.皮膚の陥凹部に軽度の色素沈着や,発汗異常をみる例もあるが,多くは単なる皮膚の凹みのみで,機能障害もないのが普通である.皮膚の凹みは,その部の皮下脂肪が消失するためであるが,さらに高度になると,皮下脂肪のみならず,筋肉,骨にまで萎縮が及ぶことがある.
本症は,躯幹あるいは四肢にみられる局所的な皮膚の凹みであり,1個のことも,また多数みられることもある.大きさはさまざまで,コイン大から,一肢全体,さらにより広い範囲に及ぶものまである.皮膚の陥凹部に軽度の色素沈着や,発汗異常をみる例もあるが,多くは単なる皮膚の凹みのみで,機能障害もないのが普通である.皮膚の凹みは,その部の皮下脂肪が消失するためであるが,さらに高度になると,皮下脂肪のみならず,筋肉,骨にまで萎縮が及ぶことがある.
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