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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻10号

1976年10月発行

文献概要

今月の主題 アルコール性障害のトピックス 臓器障害,なぜ起こるか

肝臓

著者: 高田昭1

所属機関: 1金沢医大内科

ページ範囲:P.1348 - P.1349

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アルコール性肝障害に対する概念の変遷
 アルコール性肝障害の発生機序については,現在もなお不明の点が多く残されており,真の成因は不明といわなければならない.歴史的にみると,大酒家に肝障害の多いことは,すでに16世紀頃より気づかれていたのであるが,その発生要因についての考え方には大きな変遷がみられている.20世紀初頭までは,大酒家に肝障害の多いことより,単純にアルコールが有害であると考えられていたが,1930年代頃より,栄養障害性肝硬変の実験的作成,栄養学の進歩などがあって,肝障害の発生はアルコールの過剰摂取に伴う栄養障害に由来するとする間接障害説が強調されるようになった,しかし,近年に到り,Rubinら1)によって,十分バランスのとれた栄養条件下でも,アルコールの過剰摂取によって肝炎・肝硬変が実験的に作成しうることが明らかにされ,アルコールの直接的障害作用が再認識されてきた里このように現在では,アルコールがなんらかの形で直接的肝障害作用を有し,栄養性因子は肝障害の発生には副次的な役割を果たすに過ぎないとの見方が大勢を占めるようになってきている.しかし,ヒト大酒家にみられる肝病変がアルコールのみの単独の障害作用に由来するのか,また,なぜアルコールが障害的に作用するかの詳細については不明のままである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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