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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻10号

1976年10月発行

文献概要

今月の主題 アルコール性障害のトピックス 治療の問題点

糖尿病とアルコール

著者: 伊東三夫1

所属機関: 1福岡赤十字病院代謝内分泌科

ページ範囲:P.1388 - P.1389

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 近年,わが国のアルコール消費量は増大しているといわれているが,糖尿病患者にも飲酒の機会は少なくない.筆者らの糖尿病教室に入院した男290例について,入院前の酒類摂取量を調査してみると,1日の平均アルコール摂取量が201 Cal以上であったものが62%にみられ,毎日501 CaI以上という例に限定してみても20%であった.この290例は新しく発見された糖尿病患者だけでなく,半数近くに既知糖尿病例が含まれていた.糖尿病教室では「糖尿病にはアルコールはいけないのでしょうか」,「ウイスキー,焼酎はよいといわれていますが本当でしょうか」というのが彼らの質問であった.
 Krallら1)は,糖尿病患者が飲酒を制限しなければならない理由として,①ビールやワインにはアルコール分は少ないが糖質が含まれており,その分だけ糖質の摂取量が追加されることになる,②アルコールの多いウイスキー,ジン,ブランデーは少量であれば尿糖を増加させることはないが食事量が多くなりやすい,③最も注意しなければならないこととして,アルコールによってひき起こされた低血糖が酩酊もしくは急性中毒と誤認されることがある.インスリンによって起こっている低血糖の場合でも,呼気に酒気があると酩酊と誤認され,その結果,緊急処置が等閑にされるおそれがある,④アルコールは体内で糖,アセトンに転換されることはないが,その熱量は体重増加を起こしうると述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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