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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻11号

1976年11月発行

文献概要

今月の主題 電解質異常のすべて どんな電解質異常が起こるか

肝性昏睡

著者: 涌井和夫1

所属機関: 1東北大第3内科

ページ範囲:P.1518 - P.1519

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 肝性昏睡に際して,水・電解質代謝の異常がみられ,酸・塩基平衡に変化が起こる1,2).ところが,どのような電解質の変動,どのような酸・塩基平衡の乱れが肝性昏睡でみられるのかとなると,そのような変動・変化をもたらしうる,例えば心・肺・腎などの機能不全などがしばしば合併してくることから,どれを捨象してみれば肝性昏睡での電解質異常が明らかになるのか,その取捨選択に困るのが実際の経験である方肝性昏睡には,またその成因論ひとつとっても定説がない.最も中心となるNH3中毒説にも批判がある.このような理由から,そこに一定のルールを確立することは元来無理なことなのかも知れない.また,肝性昏睡の経過についてみても,その成立に対して水・電解質,酸・塩基平衝が主役をなすものでもないと考えられている,他方,電解質,酸・塩基平衡の乱れはその患者の直接予後に大きな影響を及ぼし,また,肝性昏睡自体への影響もあり,軽度の変動でも,もたらされるところの影響が大きい状況なのであって,その理解と治療とが重要なのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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