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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻11号

1976年11月発行

今月の主題 電解質異常のすべて

どんな電解質異常が起こるか

浮腫

著者: 伊東貞三1

所属機関: 1自衛隊中央病院内科

ページ範囲:P.1520 - P.1521

文献概要

肝疾患の浮腫
 現在,肝疾患のうちで最も実地医家を悩ますものは肝硬変による浮腫と腹水である.これは本来の肝臓機能の低下のみならず,患者の予後を左右する重大な問題である.利尿剤が使用されることのなかった過去においては,患者の多くはその腹水および浮腫は放置されるままか,あるいは腹水穿刺が行われた.後者の治療は一時的に患者の負担を軽減するのに役立つが,1〜2g/dl存在する腹水中の蛋白を同時に失うため,それでなくても低蛋白血漿を示す患者の栄養状態を悪化せしめることになる.また,一度に大量の腹水を取ることは腹圧を減少せしめ,その結果,循環血液の静脈系プールを増加し,有効循環血液量減少による急性低拍出性心不全をまねく危険を有する.
 現在,最も一般化されている方法は塩類利尿剤によるものである.強いていうならば,やや用いられ過ぎている傾向がある.いうまでもなく,全く利尿剤が用いられていなかった患者においては劇的な効果があり,furosemideの静注などによって1日数1の利尿をつけることは極めて容易なことである.しかしながら,注意しなければならないことは,この時点で大量の利尿をつけることは,静脈瘤の破裂,肝性昏睡を惹起する危険が非常に大きいことである.いたずらに一時的な患者の安堵感と医師の自己満足のために患者を早期に死に至らしめることのないよう注意したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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