icon fsr

文献詳細

雑誌文献

medicina13巻11号

1976年11月発行

文献概要

今月の主題 電解質異常のすべて 電解質異常の対策

GIK

著者: 宮下英夫1 佐藤友英2

所属機関: 1帝京大第1内科 2帝京大内科

ページ範囲:P.1548 - P.1549

文献購入ページに移動
 GIK,すなわちglucose,insulin,K(potassium)の混合溶液が急性心筋梗塞の治療法として有効であることを提唱したのは,1962年,Sodi-Pallaresら1)である.すなわちイヌの実験的心筋梗塞にGIK療法を行い,心電図異常の早期改善,心筋K喪失の減少,Na,水分の蓄積減少,梗塞領域の縮小,梗塞領域心筋の酸化的燐酸化の効率上昇,梗塞部心筋収縮力の増強が認められたとし,臨床的にもGIK療法は急性心筋硬塞の経過を好転させ,不整脈の発生頻度を減らし,死亡率の低下をもたらすことを報告した1)
 心筋梗塞による障害部,虚血部の心筋細胞は細胞内Kを喪失し,その静止電位は低下する(hypopolarization).GIK溶液はinsulinが細胞膜に働き,glucoseとKの細胞内とりこみを促進し,虚血によって失われた細胞内Kを正常化し,細胞内外K比の正常化により,正常分極状態(normal polarization)となる.さらに酸化的燐酸化を促進し,細胞内ATP,グリコーゲン生成能をも高める.すなわち,虚血による細胞障害を抑制し,不整脈発生のfocusとして働くことをより少なくするのがそのメカニズムであると主張した.このような意味から,GIK溶液は分極溶液(polarizing solution)ともよばれ,GIK療法はpolarizing treatmentとよばれることがある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら