内科専門医を志す人に・私のプロトコール
神経・筋疾患/運動器疾患など
著者:
田中亮一1
高橋唯郎2
所属機関:
1阪大第4内科
2北里大内科
ページ範囲:P.1592 - P.1593
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常々,サマリーの記入に際して,単に病歴,症状,検査所見等の羅列に終わることなく,各症例についての特徴,問題点からのまとめが必要であると思う,この重症筋無力症のサマリーにおいても,十分な考察が加えられているわけではないが,いくつかの問題点をまとめると,①重症筋無力症の診断はなされており,抗コリンエステラーゼ剤は投与されていたが,症状増悪し,ワゴスチグミン皮下注にて筋力の改善がみられ,重症筋無力症の増悪と考えた.昨今,cholinergic crisisの鑑別のためには,テンシロン(edrophoniumchloride)がよく用いられる.②治療に用いた抗コリンエステラーゼ剤は,ムスカリン作用をも発現したため,同時に硫酸アトロピンを併用した.③この症例は,慢性甲状腺炎を合併しており,抗甲状腺抗体陽性,またLE細胞現象をも認め,本症の成因として最も注目されている自己免疫説との関連を示唆した.このような問題点をサマリーの後に必ず記載するよう心がけたいものである.
筆者は,当時英文にてサマリーを書いており,また最近英文サマリーが増えつつある.自分自身のサマリー集としては,構文もほぼ一定しており,理解しやすいのであるが,他の医師がみた場合,理解しにくいことがある.とくに自筆のものは読みにくく,忙しい外来診察時,短時間に内容を把握することが困難なため,専門用語はともかく,本文は目本語で書くのが適当であると考える.