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今月の主題 胆道疾患—診療の実際 胆石治療をめぐるトピックス
乳頭形成術の適応と方法
著者: 杉浦光雄1 島文夫1 別府倫兄1
所属機関: 1東大第2外科
ページ範囲:P.200 - P.202
文献購入ページに移動乳頭形成術(Papilloplasty,Sphincteroplasty)は,術式として発表されたのは,1952年,Jones,Smith1)が初めてであり,それ以前には,1884年,Langenbuch2)が,総胆管下端の十二指腸流入部の構造を検討して,乳頭部嵌頓結石を乳頭切開による摘出の可能性を示唆し,乳頭切開術(Papillotomy,sphincterotomy)として1891年,McBurney3)が第1例を行って以来,長い歴史を持っている.乳頭部に胆石が嵌頓した際に,総胆管切開を行っても摘出しにくいため,十二指腸下行部に切開を加え,さらに乳頭に切開を加えて嵌頓結石を摘出するのを主眼としたものである.しかし,乳頭切開術のみでは,切開部の創傷治癒機転から再癒合が起こる可能性が強く4),乳頭狭窄,乳頭炎,乳頭部硬化などの概念と,従来,外科系でとくに強調されていた上行性感染(胆管炎)は,内容の流入,流出が自由であれば,その危険性は全くなく,むしろ,胆管消化管吻合を行った場合,吻合部狭窄が起こることが胆管炎の原因であり,上行性感染よりは下行性感染が問題であるという考えが固定し,総胆管と十二指腸との自由な交通が乳頭部の病的状態や肝内結石,再発性胆管結石などでは治療上大きな意義があるというのが,現在の大きな流れである.
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