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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻2号

1976年02月発行

文献概要

今月の主題 胆道疾患—診療の実際 この病態をどう扱うか

胆道ジスキネジー

著者: 岩村健一郎1

所属機関: 1東海大内科

ページ範囲:P.222 - P.224

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 肝における代謝産物の排出手段であるにせよ,あるいは消化機能の重要な担い手であるにせよ,胆汁は肝において産生され,胆道系を介して十二指腸へ送られる.すなわち,胆道系の主な任務は胆汁の輸送にあり,しかも生体の要求に応じて緩急自在に十二指腸内へ排出する役割をうけもっている.そのためには肝における胆汁の分泌圧や胆汁の性状もまた胆汁の流れに関与する因子として考えられなければならないであろうし,胆道系の壁構造や壁の緊張度や胆道系各部の運動の協調能,さらにそれらの神経支配などもまた重視されなければならないであろう.胆道ジスキネジーとはこれらの各因子一つ一つの,あるいはまたいくつかの因子の異常の表現とも,また各因子の協調能の異常の表現とも考えることができるであろう.だが,これらの異常を臨床的にどのようにして把握したらよいのであろうか.この疾病概念の存在にすら疑いの眼をむけざるを得ないことがあるのは,とりもなおさず臨床的に把握すべき方法論のむずかしさがあるからであろう.それにもかかわらず,臨床的に胆道ジスキネジーと診断せざるを得ないことがあるのも事実である.この病態をどう扱うかというテーマは病態そのものをいかに理解するかということとともに,臨床的にどのように把え,どのように治療に臨むかということにあろう.常に病態のよりよい理解を念頭におかなければ現実の診療は無意味であろうし,実際上不可能といってよい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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