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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻3号

1976年03月発行

文献概要

臨床病理医はこう読む 酵素検査・1

LDHとLDHアイソエンザイム

著者: 玄番昭夫1

所属機関: 1日本専売公社東京病院

ページ範囲:P.400 - P.401

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LDHの異常高値
 この症例の経時的に測定していった図1の成績からも明らかなように,血清LDHが3160単位というのはこの患者のピーク時における値である.もし,LDHが3000単位を越えていた場合,通常考えられる疾患は心筋硬塞症とある種の血液疾患(骨髄性白血病,悪性貧血など)の2つである.肝疾患,骨格筋疾患,あるいは普通に見られるような癌のときには,2000単位を越えるようなことはない.ただ心筋硬塞症のピーク時に3000単位を越えることはまれで,一般的には2000単位以下のことが多いので,LDH活性値の大小からは疾病の鑑別はできない.鑑別診断のためには後述するLDHアイソエンザイムの分画,あるいはHBDの同時測定が必要である.しかし,LDHをこのように総活性として測定するのは,経過ならびに予後を判定するために大切である.図1からもわかるように,心筋硬塞症の際に異常高値が最も長く持続しているのはLDHである.したがって,これが正常化することは(順調な経過をたどると,第8〜14病日で正常化する),本症の一応の鎮静化がみられたと判断することができる.また,本症のピーク時におけるLDHの高さが2000単位を越えると生存の確率は低く,さらに3000単位以上なら予後は極めて不良という判断材料を与えてくれる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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