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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻4号

1976年04月発行

文献概要

今月の主題 腎不全の病態と治療 トピックス

活性型ビタミンD—その血清レベルの測定法の現状

著者: 大原憲一1 大野丞二1 須田立雄2

所属機関: 1順大内科 2東医歯大歯学部生化学

ページ範囲:P.446 - P.448

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はじめに
 高等動物の血清Caレベルの恒常性は副甲状腺ホルモン(PTH),カルチトニン,およびビタミンDによって維持されている.近年,ビタミンDの代謝に関する研究が急速に進歩し,ビタミンDがその標的器官である十二指腸および骨組織で活性を発現するためには,まず肝臓でD3分子の側鎖にある25位の炭素が水酸化されて25-hydroxyvitamin D3〔25-OH-D3〕となり,続いて腎臓でA環の1α位の炭素が水酸化されて1α,25dihydroxyvitamin D3〔1α,25-(OH)2-D3〕に代謝されてから活性を発現することが明らかにされた(図1参照).その結果,腎臓から分泌されたこの1α,25-(OH)2-D3は標的器官の細胞のクロマチンに存在するリセプターに結合し,ビタミンD3の活性発現に必要な蛋白質の合成を促進する.このことは臨床的にも極めて重要な意味を持っており,慢性腎不全患者や抗痙攣剤を長期間服用している患者にしばしばみられるCa代謝異常と肝,腎におけるビタミンD3の活性化障害とを関連づけて考える必要がある.これらの疾患におけるCa代謝異常を正しく診断するためには,血中25-OH-D3および1α,25-(OH)2-D3のレベルを測定することが重要であるのはいうまでもない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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