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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻5号

1976年05月発行

文献概要

今月の主題 痛みとその対策 本態のはっきりしない痛み

頭部・顔面痛

著者: 土井一可1 後藤幾生1

所属機関: 1九大脳研神経内科

ページ範囲:P.616 - P.618

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はじめに
 頭痛とは,広義には顔面および上項部を含む頭部の痛みや不快感をすべて含む.頭痛はほとんどすべての人が経験しており,大多数は一過性で予後良好であるが,その発現の複雑さのため,診断治療の困難なものもあり,また,脳腫瘍,頭部外傷,クモ膜下出血などのように,早期診断しないと重篤な予後をきたすものもある.また,生命にかかわらない頭痛でも,毎日悩まされるとなると日常の社会活動も制限される,よって頭痛の原因の追求をすることは治療を行う上で大切である.
 頭痛発現の基本的機序は,頭部の痛覚感受組織に刺激が加わり,脳幹または頸髄,さらに視床を介して,大脳皮質の痛覚中枢でこれを認知するのであるが,個人差が大きく,精神的,心因的要素も強く,痛み刺激はなくとも頭痛を訴えるものもあり,実際は複雑である.痛覚感受部としては,頭蓋外部では動脈と筋肉が主で,ほかに頭皮,骨膜,粘膜などがあり,頭蓋内部では,硬膜(とくに頭蓋底),硬膜動脈,静脈洞とそれに注ぐ大静脈の一部,脳底部の主幹動脈などがあり,さらに脳神経(三叉・中間・舌咽・迷走)および第2・3脊髄神経がある.一般に小脳天幕上部からの痛覚は三叉神経により伝達され,前頭,側頭,頭頂部痛として感じ,天幕下部からは舌咽,迷走,第2・3脊髄神経によって伝達され,後頭部痛となる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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