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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻5号

1976年05月発行

文献概要

今月の主題 痛みとその対策 本態のはっきりしない痛み

肩甲痛

著者: 石田肇1

所属機関: 1日医大整形外科

ページ範囲:P.620 - P.621

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どのような原因が考えられるか
 肩甲部周辺の漢然とした痛み,凝り,しびれなどは,日常臨床上しばしばみられるが,単なる肩凝りとしかいえないものから,癌の骨転移などのような重大な疾患の一症状であることもある.考えを整理する意味で,疾患が整形外科あるいは脳神経外科に属するものか,内科的な疾患の関連痛か,あるいは「うつ病」,「心身症」などの精神科領域のものかを鑑別することが重要であろう.整形外科的には,頸椎柱に由来するか,肩関節に由来するか,あるいは胸郭出口症候群としてまとめられる疾患かが問題である.さらに末梢手指の疼痛,シビレと肩甲痛がきた時は,手根管症候群やその他のentrapmentneuropathyも問題となる.なおその発痛組織も,脊髄,脊髄神経根,腕神経叢,末梢神経の圧迫刺激によるか,末梢循環不全,Raynaudのような血管運動,血管圧迫が関与するか,あるいは頭痛,めまい,霧視,眼精疲労,立ちくらみ,咽喉頭部異常感,胸のしめつけ,手のしびれなどを伴う自律神経関与の痛み,すなわちBarre-Lieou症候群ではなかろうかとの考慮も必要である.頸椎柱に由来するものは,頸椎の運動性の著明な制限と,天井を向く動作やくびを特定方向に捻転,側屈する時,症状が増悪するし,肩関節自身に由来するものは五十肩で代表されるごとく,肩関節の円滑な運動,ことに外転,外旋が制限され,肩甲骨と上腕が一かたまりになって動く,凍結肩の状態を示す.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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