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今月の主題 肺のびまん性陰影をめぐって 代謝疾患によるもの
わが国における肺胞蛋白症
著者: 田村昌士1 中山修二1
所属機関: 1順大呼吸器内科
ページ範囲:P.802 - P.803
文献購入ページに移動 肺胞蛋白症pulmonary alveolar proteinosisは1958年Rosenら1)により最初に報告されたが,その特異な病像,とくに肺の代謝に関連した疾患として,最近注目されてきている.臨床像は咳,痰,進行性の呼吸困難などの自覚症状があり,胸部X線上びまん性の粒状陰影あるいは雲絮状陰影を呈し,いわゆる間質性肺炎の範疇に入るが,組織像では胞隔の病変が軽く,PAS陽性で,脂質に富む蛋白様物質が肺胞腔に充満しているのが特徴である.最近,本症にみられる蛋白様物質に対する生化学的分析や,肺胞クリアランス機構の解明など本症の病因に関連する研究が進められているが,まだ解明のいとぐちを把握する段階には到達していない.しかし,治療法は徐々に進歩し,反復気管支肺洗滌療法による改善例がかなり報告されてきており,早期診断,早期治療が望まれる.わが国では,1960年岡ら2)の報告に始まり,現在まで筆者らの集め得た症例は40例に達している.本稿では,これらの症例を中心に本症の一般的病像について述べる.
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