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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻7号

1976年07月発行

今月の主題 内科疾患としての先天性代謝異常

知っておきたいその他の代謝異常

フェニールケトン尿症

著者: 北川照男1

所属機関: 1日大小児科

ページ範囲:P.946 - P.948

文献概要

はじめに
 今から40年も前に,ノールウェーのフェーリング博士が,たまたま精神薄弱患者の尿を調べている中に,塩化第二鉄溶液を滴下するとその色調が緑変する尿を排泄する患者を見出し,さらにこの患者の尿には大量のフェニールピルビン酸が排泄されていることを発見して,フェニールピルビン酸を排泄する白痴と名付けた.その後,この研究はジャービス博士によって受け継がれ,遺伝病であることとフェニールアラニンを代謝するフェニールアラニンヒドロキシラーゼという酵素の先天異常に基づく疾患であることが明らかにされた.そして,1954年にドイツのピッケル博士は,フェニールアラニンを代謝する酵素に異常があり,フェニールアラニンやその代謝産物が蓄積して精神薄弱を生ずるのならば,フェニールアラニンの少ない食餌を与えて,体内に蓄積するフェニールアラニンやフェニールピルビン酸を減少させれば,精神薄弱の進行を予防できるのではないかと考えた.そして,フェニールアラニンを除いた特殊ミルクを作って,その治療を試み,精神薄弱が改善されたことを報告した.
 この研究が成功するまでは,フェニールケトン尿症を含めて,すべての精神薄弱には有効な治療法がないといわれていたが,治療のできる精神薄弱もあるとつうことが明らかとなって,フェニールケトン尿症が社会的に大きく注目されるようになった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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