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文献詳細

雑誌文献

medicina13巻9号

1976年09月発行

文献概要

今月の主題 リンパ組織の基礎と臨床 リンパ球の基礎

T cellとB cell

著者: 矢田純一1

所属機関: 1東邦大小児科

ページ範囲:P.1194 - P.1197

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T cell,B cellの定義
 T cell,B cellという言葉が使われたのは,次のような歴史的な実験の結果からきている.すなわち,胸腺リンパ球のみに抗原を与えても抗体は作られてこないし,骨髄リンパ球のみでも同様である.しかしこの両者を共存させると優れた抗体産生がえられた.したがって,抗体産生においては胸腺由来リンパ球(T cell)と骨髄由来リンパ球(B cell)との間に協同作用が存在する,しかも抗体を産生するのは骨髄由来のリンパ球である,というものである.
 このようないきさつからすると,T cell,B cellは,その由来から分けられたリンパ球に対する名称である.しかしながら,その機能を考えてみると,B cellが実際に抗体を産生し,T cellはその補助をしているという関係にある.ところで胸腺リンパ球は,骨髄由来の未熟なリンパ球が胸腺に入って分化したものであることが知られている.それだけでなく,リンパ球は胸腺リンパ球であれなんであれ,すべて骨髄由来であるから,骨髄由来というだけでB cellと呼ぶのは実情にそぐわないことになる.先に述べた実験の意義を考えて,"骨髄由来で抗体を産生する系列のリンパ球"をB cellと呼ぶのが正しいと考える.リでは骨髄由来の未熟なリンパ球がFabricius嚢に入って抗体産生系リンパ球に分化するので,Fabricius嚢由来のリンパ球がB cellということになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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