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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻10号

1977年10月発行

文献概要

図解病態のしくみ 高血圧シリーズ・6

高血圧症における遺伝と環境

著者: 青木久三1 加藤一暁1

所属機関: 1名市大第2内科

ページ範囲:P.1453 - P.1455

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 高血圧症が遺伝することは,18世紀から推定され,教科書的に認められているが,遺伝形式はメンデルの法則に従う単一遺伝子による優性遺伝,多遺伝子遺伝(polygenic inheritance),および形質遺伝などが考えられている.実験的には,SHR(岡本・青木),遺伝性高血圧ラット(Smirk),および食塩感受性高血圧ラットと食塩抵抗性正常圧ラット(Dahl)の系統の分離育成により,高血圧症の遺伝が証明され,さらに高血圧発症における遺伝子と環境因子との相互関係がより明確になった.本稿では,高血圧症における遺伝子の重要性について解説を試みる.
 本態性高血圧の発生頻度は1),一般人口中に比し家族性発生頻度が高く,高血圧者が同一家族内に存在する場合,遺伝負荷があるとすれば,本態性高血圧症の遺伝負荷は日本で68.2%,欧米で71.4%,双生児血圧近似性は2卵性より1卵性で大きく,また,生活様式など環境条件が類似した地方でも高血圧発生頻度の高い部族と高血圧の発生しない部族が報告され,高血圧発症性遺伝子が高血圧症に大きな役割を果たしていることが明確になった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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