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今月の主題 呼吸不全とその管理 知っておきたい呼吸不全
特発性呼吸窮迫症候群—新生児
著者: 松村忠樹1
所属機関: 1関西医大小児科
ページ範囲:P.1540 - P.1541
文献購入ページに移動未熟児死亡のほぼ30%を占め,その死亡率も改善されたとはいえ,なお20%をこえている疾患が特発性呼吸窮迫症候群(idiopathic respiratory distress syndrome, IRDS)である.発症は生後間もなく呼吸窮迫の症状で始まり,次第に増悪してゆき,重症例は生後3日までに死亡する。生後5日間生存すれば,あとは徐々に回復してゆく.その間の呼吸管理技術は新生児救命救急処置の代表的な課題となっている.
さて,本症の診断であるが,①多呼吸(1分間60以上),②陥没呼吸(吸気時の肋間陥没),③呼気性呻吟(呼気時の声門部でのうめき声),④中心性チアノーゼ,の4項目のうち2項目以上の症候が未熟児で生後しばらくして認められるようであれば,呼吸窮迫の状態と診断してよい.胸部X線検査で本症に特有な肺所見(表)があればRDSと確診できる1).
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