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臨時増刊特集 診断基準とその使い方 II.呼吸器疾患
Vanishing Tumor
著者: 清水浩1
所属機関: 1日本医大放射線科
ページ範囲:P.1767 - P.1774
文献購入ページに移動近年,肺癌の増加が大きくクローズアップされてきた.したがって,胸部X線診断に際して肺癌と紛わしい陰影との鑑別が重要となっている.その一つとして,いわゆる"vanishing tumor of the lung"(消える腫瘤)がある.
これは1950年Gefterら1)が心不全の症例で葉間腔の限局性胸水貯留陰影が正面X線像で肺腫瘍と類似しており,心不全の治療によって速やかに消失するものを肺腫瘍とまちがえないように"vanishing tumor of the lung"(localized interlobareffusion in congestive heart failure)と表現し,注意を喚起したのが最初で,その後,数多くアメリカの学者の報告をみるようになり,Federら(1956)は"phantom turnor"(まぼろしの腫瘤)という表現を使っている.わが国でも1960年,里吉ら3),が本症の2例を報告して以来,注目されるようになった.
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