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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

文献概要

私の経験例

激しい嘔吐発作を主訴とした多発性硬化症(MS)の一例

著者: 森川景子1

所属機関: 1大阪赤十字病院内科

ページ範囲:P.1803 - P.1803

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 患者は31歳女性.入院2ヵ月前より心窩部痛に始まり,2週間前より激しい嘔吐発作にて食物をまったくうけつけなくなったとのことで,昭和49年12月初,ストレッチャーにて入院した.入院時消耗状態であったが,神経学的所見は異常なく,また現病歴にもまったくそれらしいものはなかった.当初消化器系の異常が考えられたので,胃腸透視をはじめとするあらゆる検査をしたがまったく異常所見はみられなかった.その他の検査所見でも他覚的な異常値はなく(電解質も嘔吐のわりに異常でなかった!),まったく診断に困った.その後嘔吐は自然に軽減していったが,次にしゃっくりが頻発した.髄液所見も異常なかったが脳外科を受診し,諸検査をうけたが異常はなかった.その後これも自然に止まり,次にはめまい,複視,皮膚の知覚異常,嚥下困難,嗄声,意図振戦,眼振,歩行障害が次々と見られ,他覚的にも外転神経麻痺,IX,X脳神経不全麻痺,小脳症状,迷路性失調,眼筋の核間麻痺などが確認された.しかし,これらは一過性のもので,短いものは数時間,長いもので数日間つづくだけであったため,ヒステリー症状ではないかと思われるふしもあった.これら多彩な症状も自然に1カ月で消失したが,次にsphincter disturbanceを生じ尿カテーテル留置を余儀なくされた.しかし,これも約1カ月で消失した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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