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臨時増刊特集 診断基準とその使い方 IV.肝・胆道・膵疾患
胆道ジスキネジー
著者: 玉沢佳巳1
所属機関: 1岩手医大第1内科
ページ範囲:P.1847 - P.1850
文献購入ページに移動胆道ジスキネジーの概念は,1923年Westphal一派によって唱道されたもので,胆汁流出装置すなわちOddi括約筋,胆嚢および胆管の機能的運動障害によってひき起こされる病態である.したがって本症では,胆石症のような症状を示しながら胆道や胆道以外の臓器に原因となる器質的変化を認めないもので,このような胆汁流出装置の機能異常は胆石症や胆道感染症などに伴ったり,糖尿病,肝炎などにも合併しうるのであるが,これらは,二次的あるいは症候性胆道ジスキネジーと呼んでいる.したがって,純粋に本症をとらえる場合には,概念的にもまた臨床的にも把握しにくい疾患である.胆汁排出装置に関する歴史的背景として総胆管十二指腸開口部近くに括約筋のあることは300年以上前から知られていた.1887年Oddiはこれが胆汁排出機構の要であることを明らかにし,それ以来Oddi括約筋と呼ばれている.その後Kruckenbergらは胆石のないのに癌痛発作を示した症例を報告し,AschoffおよびBacmeister,MeltzerおよびLyonなどによってそれらは胆嚢管の屈曲,うっ滞胆嚢,胆嚢アトニーなどと呼ばれていた.
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