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文献詳細

雑誌文献

medicina14巻12号

1977年12月発行

文献概要

私の経験例

尿路結石および痔核合併のために早期診断が遅れた上行結腸癌

著者: 梅村康順1

所属機関: 1住友病院内科

ページ範囲:P.1879 - P.1879

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 不定の腹部症状,持続性の糞便潜血反応陽性および漸次進行する貧血などの症状を呈した場合,結腸癌を疑う必要があるが,尿路結石および内痔核があったために,危うく見過ごすところであった上行結腸癌について記述する.
 患者は38歳の男性.2年前に尿路結石で治療したことがある.約1年半前に左上腹痛があり,筆者が当時勤務していた大阪労災病院を受診し諸検査実施.胃X線は異常なし.肝2横指触知するが弾性硬で平滑.肝機能検査,肝シンチグラムとも著変を認めず.ただし糞便潜血反応が陽性で気になったが,hemorrhoidsがあったため,多分それからの出血であろうと考えた.約1年前にも下腹痛,排尿障害があり当院泌尿科を受診しているが,その後症状軽快したため途中で治療を中断.さらに約2カ月前より左下腹痛および腰痛が出現し,再度当科を受診した.顕微鏡的血尿があり,尿路結石の疑いで泌尿器科を紹介したが(泌尿器科診断,左尿路結石),貧血もあり,糞便潜血反応陽性であったため,当科外来でも精査を行った.便通は以前より不規則で軟便傾向,経口的胃腸X線は著変なく,さらに注腸透視も行ったが病変を見つけることができなかった.外科でromaaoscopyを行ったが,内痔核を認める以外著変はなかった.しかし貧血は次第に増強し,RBC 321万,Hb 9.6gになったので精査のため入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1189

印刷版ISSN:0025-7699

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